実体法上の共有の法的性質と共同訴訟【単一権説と複数説】

共有者は、単独で、妨害排除請求をすることができます。

なぜ、共有物について妨害排除請求を各共有者が単独ですることができるのでしょうか?

これは、共有の法的性質によって根拠が違います。そして、共有の法的性質というのは、共有に基づく権利は所有権なのか?ということです

共有の法的性質

これには、単一権説と複数説の見解があります

単一権説

これは、共有物の所有権は1個で、各共有者は権利の一部を有していると考えます。持分権という権利はありません

単一説に立つと、共有物は共有権という一つの所有権なので

原則、単独で訴訟を提起することができません。なので、保存行為として例外的に単独請求を認めることになります。

そして、持分に基づく請求を行う場合、結果として効力が及ぶ範囲は持分に応じた範囲であって、全体には及びません。

ただし、使用・収益に関しては共有物全体に及びます

複数説

は、各共有者の所有権が1個で、共有物は各人独立の所有権が複数集合していると考えます。

複数説に立つと、共有物の所有権は「共有権」というものを観念しません

持分権に基づく請求のみが認められます。

以上について

判例は、はっきりと答えは出していません。

従来、民法が単一説としてつくられておりベースにはなっており、持分権という表現を避けているのは事実です。

一方、学説においては複数説が通説です。

どの基本書にも、条文にない「持分権」が記載され、共有権は共有関係などと書いてあります。

民事訴訟とのかかわり

この問題は民事訴訟とも密接にかかわる問題に繋がってます

民事訴訟は、実体法上の権利関係の存否を確定する手続きですので

実体法の基準を受けて、当事者適格が決まります。

共有者の一人が訴訟提起する場合、他の人たちはどうなるのか?共同訴訟なのか、固有必要的共同訴訟になるか?といった話で

単一説に立つと、固有必要的共同訴訟

複数説に立つと、通常共同訴訟

ということになります

ただし、近時は紛争解決のために政策的な部分もあわせて考慮するようになってきています

コチラの立場であれば考えなくてもいいかなとは思います

むしろ、請求の法律構成をたてることの方が重要で

判例も一貫した立場を立てておらず、学説と対立してますので、請求ごとに確認しなければならないのです