【民法改正】 時効について

■ 時効

時効もけっこう大きく変わりました。

といっても、それほど内容はそれほどでもなく、 条文が整理されたことによるものです。

項目が多いのでやや重たいところですが、さほどむずかしくありません。むしろ、今までごちゃっとしてたところをスッキリしました。

判例を踏まえた明文化もありますが、ポイントとしては、

時効の効果は、時効が止まるのかゼロから数え直しになるのか

こういったところを整理したことです。

ほかにも、当事者の範囲や短期消滅時効もありますのでざっと概観してみましょう。

1.当事者の範囲

:第145条 時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。

:第145条 時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない

→ 当事者に含まれるのはだれかを判例を踏まえて明確にしました。

物上保証人についての判例は、(最判昭43.9.26)、
第三取得者についての判例は、(最判昭48.12.14)です。

2.時効中断

条文操作が分かりにくいので、適宜条文参照してみてください。

若干、対象となる完成猶予事由を拡大したりしてますが、ほぼ同じです。


分かりやすく文言を変えて条文を整理しています。

旧:(時効の中断事由)

第147条 時効は、次に掲げる事由によって中断する。

新:(裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新)

第147条 ①次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない

→ 旧法において、「中断する」となってますが、催告は「完成猶予」するものですし、承認は時効を「ゼロから新たに進行」させる更新でした

そのせいで、文言と法律効果の理解が困難なものとなっていました。

いままでは時効の完成が猶予されるものと、新たにゼロから時効を数える更新の二つの効果があるのに、「中断」とひとくくりに言っていて、

時効停止についても時効完成猶予であるところを「停止」といっていました。(ややこしい…)


そういったことを踏まえて、新法では、完成猶予事由と更新事由を整理しています。


▼ 以下、新法における「完成猶予事由」、「更新事由」をまとめておきます。

■ 完成猶予事由

第147条

以下事由は、終了するまで猶予されます。         

・ 裁判上の請求
・ 支払督促
・ 民事訴訟の和解又は民事調停若しくは家事事件手続による調停
・ 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加

第148条

以下事由は、終了するまで猶予です

・ 強制執行
・ 担保権の実行
・ 形式競売
・ 財産開示手続き

→ 財産開示手続きや差押えをともなわない強制執行も時効完成が猶予されます。


第149条

以下事由は6ヶ月猶予されます。更新の効果はなくなりました。

・ 仮差押え
・ 仮処分

第150条

以下事由は、6ヶ月の猶予です

・ 催告


第151条
以下事由は、合意から1年、拒絶通知から6ヶ月猶予されます。

・ 協議を行う旨の合意

■ 更新事由

第152条

権利の承認があったときは時効は更新されます。

・ 承認


第170条から第174条

これらは細かく規定されていましたが、削除されました。理由は、判断もむずかしい割りに実益に乏しいということです…

(法定利率が見直されて必要なくなったことも影響してます。)

・ 短期消滅時効の廃止

・ 商事消滅時効の廃止

Ex1. 「動産損料」にあたるのは、貸寝具や衣装であって建設重機はあたらない(最判昭46.11.19)


Ex2.  銀行は5年だが、信金は10年 

うーむ、たしかにこの判断はむずかしそうですね…。