【図解】すっきりわかる表見代理3類型はどんな事例?

表現代理の成立を主張するのは誰か?

というと取引の相手方です。

本人は追認すればいいだけなので、表現代理の主張することは考えにくく、無権代理人は主張することができません。(最判昭.62.7.7)

したがって、相手方が本人に対し、契約の成立を主張する場面です。

◆表現代理の3つのパターンとは?

表見代理というのは、いずれの類型も、代理権があるとか、代理人であるなどという「相手方の取引上の信頼」が裏切られているものです。このような場合、代理があったものとして扱います。

すなわち、本人に効果を帰属させてもよいと言えるだけの理由があるわけです。本人に落ち度があるか、相手方を保護すべきであるということが要件として求められます

それぞれの要件事実などを具体的な事例から3つのパターンから紐解いて確認します。

①代理権が無い場合に、本人が代理権を与えたことを示したというもの(109条)

109条の規定で、要件は以下。

  • 代理権授与表示
  • 代理行為
  • 代理権が無いことについて相手方の善意無過失

代理権じたいがまったくないが本人があると言ってる、本人に落ち度があるような場合です。

109条はとても特殊な場面を規定しています。本来、顕名がなければ代理は成立しないからです。

当たり前ですが、取引の相手方は顕名がなければ、当然目の前の相手を取引の相手だと思います。

顕名は口頭にしても書面でも、代理であることを共通確認するためのもので、代理の当然の前提です。

では、なぜこのような場面が規定されるかというと、顕名がなくても代理ではないかと思われる場合がありうるからです。

すなわち、目の前の取引相手は何も言ってこない。しかし、当の本人から代理人が来ますと言われたり、委任状を渡されているという場面です。これが代理権授与表示です。

代理権授与は代理人に権限を授与することを指しますが、その表示といえば相手方に表示することを指します。

代理権授与表示とは、代理人に代理権を与えたことを取引の相手方に本人が示すことを意味します。

代理権というのは本人が代理人に与えるもの

顕名というのは代理人が相手方に与えるもの

取引が代理であることを示す機能としてはどちらも同じと考えられます。

109の場面は、本人が代理権授与表示を相手方に示した場合、これを顕名と同じように考えてもいいか?という問題意識です。代理成立要件の顕名ではないから表現代理となるのです。

本来、顕名のように代理人が示さなければならないところですが厳密には法律構成の問題などがありますが、さしあたり、効果帰属するのは本人であり当の本人が代理を認めているのであれば良いだろうと考えておけば良いです

② 代理権がある場合に、その代理権の範囲を逸脱した(110)

110条の要件は以下

  • 顕名
  • 基本代理権
  • 代理権を逸脱した行為
  • 代理権があると信じる正当な理由

基本代理権を指摘すればおのずとその範囲も見えてきますので権限外かどうかもわかります。

基本的に実印や印鑑証明など重要な書類が揃っていれば、正当な理由になります。ただし、銀行などの金融機関は実印や印鑑証明だけでは足りません。

銀行の審査が厳しいのは一応プロということでこういった法律上の調査義務があり、はじめからリスクが転嫁されているからです

基本代理権

基本代理権というものは、何かしらの代理権のことを指しています。それを基礎に、表面上は代理権があるのだから表現代理を成立させようという法技術です。

ただ、代理権にも本人が与え私法上発生したものと、法律上定められたものとあります。この代理権の種類はなんでも良いのでしょうか?

代理する行為が法定されたものでも、行為を委託していれば良いと考えられています。

『登記申請権限について、公法上の行為であるが、委託され私法上の契約によりなされる場合は、その権限を基本代理権として110条による表現代理を認めることができるとしている。』

判例S.46.6.3

③ 代理権がはじめはあり、無くなった後に代理したというもの(112条)

112条の要件は以下

  • 代理権授与
  • 顕名
  • 代理行為
  • 代理行為時に代理権がないこと
  • 代理権消滅について相手方の善意無過失

112条の代理権が消滅するときの場面です。まず、代理権が消滅するときはどういう時かというと

通常、代理について委託をしているはずなのでこの解除・撤回

それから、本人代理人が死亡・破産

そして、代理人が後見開始の審判を受けるなどです。

代理人は、制限行為能力者でもなれるのですが、それは本人がリスクを負って自ら選定したという前提。なので、後から後見開始となった場合代理権は消滅します。

代理権授与してから取引行為までの間の期間に後見開始の審判があったり、死亡したり、破産したりすればもともとあった代理権が消滅して112条の問題に流れやすくなります。

それから委任状を渡しておりこれを破棄・回収しておらず悪用された事例などもそうです。

結論として、表見代理は、説明を聞いてもよく分からんです。

過去問や判例などで要件を確認するしか理解への道は無いかもしれません。