このまとめの対象読者
ここでは、これから行政書士を独学で受験しようとしている方を対象にしています。
とくに、法律を全く学んだことがないという方や少しはかじったことがあるけど、正直あんまよくわからないという方
いろいろなサイトなどで情報収集されているかもですが、
少しでも効率よく勉強して合格を掴んでいただければと思いますので、情報を整理して最も最適だと思うものを活用してください
他のところでも言っていますが、行政書士は工夫しだいで業務を拡大できます。
比較的取得しやすく一定の権威があり、業務の拡大が見込める非常にポテンシャルのあるポジションだと思います。
(現状、高齢の先生や既存の行政書士業務をしている人ばかりなので競合が居ません。)
何かヒントになれれば幸いです。
- 行政書士試験は独学合格できるほどの難易度か
- 独学合格のために知っておきたい合格率について
- 独学の場合、合格に必要な勉強時間とは
- 独学者の勉強方法
行政書士は独学合格できる難易度か
まずは、行政書士試験の概要です
意外ですが、管轄は「総務省」です法務省ではありません。
次に、行政書士試験の特徴です
ポイントとなる特徴をまとめるとこんな感じです
- 行政法が多い
- 民法が難しい
- 憲法・商法があり、対策しにくい
- 一般知識問題で足切りがある
- 記述式問題がある
行政法とまとまっていますが、正確には行政法というのはなくて、行政訴訟法とか行政不服審査法とか地方自治法とかいくつかの法律を総称しています。実は司法試験より範囲は広くなっていて、得点源と思われる反面けっこう大変です。
民法はちょっと難しいです。私の肌感覚ではありますがもっともコスパが悪いような気がします。学習したことが素直に跳ね返ってこないです
憲法・商法がありこの辺で気づいた方もいるかもしれませんが、分野が多いです(笑) 行政書士は気軽に始められるように見えて出題ジャンルは広いです。出題傾向はあるのでポイントを絞っていけば問題ないのですが、憲法・商法はちょうど良い教材が皆無でして、対策しにくい難点があります。
行政書士試験最大の壁は一般知識と言う方は多いです。どこから出題されるか分からない上に、時事問題や政治経済などの知識問題ですので対策にどれだけ時間をかけるのかといった難しさがあります。
記述式問題に苦手意識がある方も多いですよね。断片的な知識は持っているけどいざ自分で説明するのはちがった難しさがあると思います。ある程度の慣れも必要ですが、これについては、「書き方」を知っているかだと思っています。
マイナス面ばかり挙がってしまいましたが、行政書士試験はひっかけ問題や意地の悪い問題はほぼない正統派の問題ばかりです。出題傾向を掴んで理解をしていけば独学でも十分対応できます。
行政書士独学合格のために知っておきたい合格率
まずは、過去の合格率を見てみましょう
平成30年度 受験者39,105人 合格者4,968人 合格率12.7%
平成29年度 受験者40,449人 合格者6,360人 合格率15.7%
平成28年度 受験者41,053人 合格者4,084人 合格率10.0%
(『行政書士試験研究センター』試験結果分析資料より)
最近は10%を超えています。もう少しさかのぼると10%を下回る辺りで推移しています。
やや低いかなという印象です。
(受験しなければならない人という属性がほぼないので)
次に、他資格と比較してみましょう
司法書士
平成31年度 受験者13,683人 合格者601人(R) 合格率4.3%
平成30年度 受験者14,387人 合格者621人(R) 合格率4.3%
平成29年度 受験者15,440人 合格者629人(R) 合格率4.0%
『法務省』司法書士試験
社会保険労務士(R)
令和元年度 受験者38,428人 合格者2,525人 合格率 6.5%
平成30年度 受験者38,427人 合格者2,413人 合格率 6.2%
平成29年度 受験者38,685人 合格者2,613人 合格率 6.7%
『全国社会保険労務士会連合会試験センター』社会保険労務士試験オフィシャルサイト
宅建士(R)
令和元年度 受験者220,797人 合格者37,481人 合格率17.0%
平成30年度 受験者213,993人 合格者33,360人 合格率15.6%
平成29年度 受験者209,354人 合格者32,644人 合格率15.6%
『一般財団法人 不動産適正取引推進機構』試験実施概況
こうしてみると、行政書士の合格率は若干高く見えます
ただし、行政書士の試験というのは合格ラインがあります。ボーダーを超えればよいので、他の受験生に左右されないという点では、安心ではないでしょうか。
行政書士独学合格までに必要な勉強時間
まずは、最低限確保すべき時間についてです。
これは、あくまでも理解度によって個人差あるかとは思います
一般には、600時間とか800時間とかいろいろ言われていますが
ちょっと難しいですね。数字の根拠となるものがないですから。
ただ、1日2時間×半年で360時間くらいというのは妥当かなあとは思います。
これは、範囲が広いため、ゼロから学ぶには360時間くらいは確保しなければ 一通り潰せないというような意味です。
細かい計算はしなくていいかもですが、試験までにだいたいどれくらい時間がつくれそうかは確認する必要があるかもしれません。
実際に行政書士試験に独学で合格しようと思えば、教えてくれる人がいない分、理解に時間が必要ですのでもう少しかかると思うので、500時間くらいに落ち着くのではないでしょうか。
もっとも、後述のように効率よくポイントを絞って勉強すれば500時間で十分かなと思います。
次に、他資格と比較してみると
司法書士で2000時間、3000時間
社会保険労務士で800時間、900時間
宅建で300時間、400時間などと言われています。
いずれにしても目安で、重要なことはあなたのライフスタイルとのバランスです。どれくらいの時間をコンスタントにつくることができて、試験まで維持できるか考えるきっかけにしてください。
最後に、一応、予備校のカリキュラムと比較してみましょう
行政書士に向けて独学者の勉強方法
まず、おさえておきたい「マインド」です
「すべてを理解しようとせず、前に進んでいる感覚を意識すること」
これです。じっくり解説やテキストを読むことは大事なことですし、すばらしいことです。しかし、何十分も文字と見つめあっていても分かるようにはならないです。
分かる時と言うのは、読んでいてなんかもうちょっとでわかるかもしれないという感覚があります。その時は繰り返して読んだり、情報を整理してみるタイミングです
分からないときは、次のセクションに進んでいきとにかく一周することが大事です。また戻ってくればいいだけなので。
そして、一日にこれは確実にわかったと思えるものを蓄積するようにしましょう
一歩でも前に進んだ感覚があると、モチベーションにもなるし記憶は感情と結びついてストックされます
もしかしたら、覚えて前に進んだはずなのに忘れてしまったということもあるかもしれません。
ただこれも、人間はすぐに忘れてしまうのであまり気にしないで進みましょう。
実は、忘れることはとても大事で、忘れたことを思い出すときに記憶は定着するのです。
前に進んでいる感覚を意識して、まずは一通り学習をなるべく早く終わらせることを目指しましょう。
このマインドセットが挫折を回避するカギです。
次に、予備校との違いについてです。
行政書士に独学で勉強する場合、予備校と決定的に違うことは、分からないことを聞ける環境でないことです。
この差は、たしかに大きいかもしれないのですが、個人的には逆に武器にできるかなと思っています。
一つは、自分で調べたり、情報を整理したり、考えたりするので法的な考え方や感覚が間違いなく伸びます。
二つ目は、講師をはじめ誰かに聞くと、分かった気になるというトラップが潜んでいます。
たとえ、誰かに聞いたとしても、結局は自分の中で納得して知識として整理されていなければ定着せず、試験でも間違えます。
誰かに聞くことができないからこそ、自身の知識に刻み込んでください
これは独学者の特権でありメリットです
注意すべきは、時間をかけすぎない、立ち止まらないということです。
ここだけ気をつければ大きく成長できるかと思います。
次に、テキストについてです。
これは、書店に行けば、行政書士試験のテキストがあると思います。
間違ってもすぐにこれを買わないでください。
なぜなら、行政書士テキストは非常によくできています。ほんとうによくできていて、はっきりいって初心者が読みこなすにはレベルが高いと思います。
一度開いて、一ページで良いので読んでみるといいかもしれません。
読めるレベルのものを選んでください。
場合によっては、簡単な法律の読み物から始めることも必要です。
基準は一ページ読んでみてなるほどなと心から思えるレベルです
(またおすすめ書評でもしようかな…)
そして、取り組む順序としては、最初に過去問と答えです
しかも、一問目からではなく、気になったところから適当でいいです。
(一般知識からみていくと面白いかもです)
過去問と答えを読んでどんな問題がでて、どんな問われ方をしているのかをチェックしてください。
おそらく、たいてい正解、不正解がハッキリしていてひっかけ問題のようなものは少ないかと思います。
それから、過去数年の試験で頻出の知識があるので、そこからテキストなどで理解をしていくのがおすすめです。
(これは私が短時間で勉強するときによくやってました)
行政書士に限らずですが、独学は非常に辛いです。
私は孤独なのはよかったのですが、分からなくて嫌になることばかりでした。
しかし、苦労した分、法律のしくみや考え方は圧倒的に成長します。
だれでも必ず合格できるのが行政書士試験です。たとえ独学でも。
勉強できることは幸せなことで、挑戦することはすばらしいことです
自分の信じた道を突き進んでがんばって下さい。