【決算書の読み方】投資判断に役立つ財務分析4つの指標【簿記は不要】

なんとなく決算書が分かる人

「決算書って、なんとなくは分かるけど、何をみたらいいんだろう?
どこを見たら何がわかるんだろうか?
財務分析ってどうやればいいのだろう?」

こういった疑問に答えます。

本記事の内容

□ 投資判断に役立つ財務分析4つの指標とは?

□ 財務分析の事例で投資判断に活用してみる

□ 決算書を4つの指標で財務分析する手順

簿記は、あくまでも作成する人の知識。
たしかに、重なり合うけれども、ぶっちゃけ、簿記を持っていても数字にどんな意味があって、どうその会社がどう評価できるか?

それがわかっていなければ投資には使えない。
では、どの数字を見て、どのように評価していけばいいでしょうか?

投資判断に役立つ財務分析4つの指標とは?

決算書を使った財務分析には、おもに4つあります。

□ 収益性 ⇒ 利益

□ 安全性 ⇒ 資金繰り

□ 生産性 ⇒ 付加価値

□ 成長性 ⇒ 伸びしろ

「収益性」とは、投下した資本に対して、どれだけ効率的に利益を生み出しているか?

「安全性」とは、資金繰りが、安定しているか?

「生産性」とは、企業が経営資源に対して、どれだけ効率的に付加価値をあげられているか?

「成長性」とは、売上高や利益が、どれほど伸びているか?

これらは、企業に対する投資判断材料として活用することができます。

今の状態をさまざまな角度から分析して優良企業かどうかをチェックしていくのです。

なお、決算書とは、以下の3つです。

□ 貸借対照表

□ 損益計算書

□ キャッシュフロー計算書

財務分析の事例で投資判断に活用してみる

では、実際に、分析を考えてみます。

まずは、収益性分析から順番に確認します。

ベースは、上の貸借対照表の図です。

1.収益性分析

基本的な指標となるのが「収益性分析」です。

収益性を測る数字はいくつかありますが、マクロな視点が資本利益率。

「資本利益率」投下した「資本」に対して、どれほど効率よく利益をあげたか?
利益から資本を割ると出ます。

利益÷資本

もし、資本が100億で、利益が5億であれば、資本利益率は、5%です。

他方、資本が50億でも、利益が4億であれば、資本利益率は、8%となり、

この時の方が、「効率よく利益をあげることができた」と言えるわけです。

資金調達 ⇒ 営業 ⇒ 収益 ⇒ 利益を得る、このサイクルが事業です。

投下した資本に対する利益の割合を見る方が会社を動的にとらえることができます。

売上と利益を比べるよりも、会社のお金の流れとして把握できるのです。

また、「利益」といっても、「粗利」・「経常利益」・「営業利益」・「税引き後利益」と細分化して考えることができるので、分子を変えることで様々な分析ができます。

RoA(総資本利益率)

利益を経常利益としてみると、「RoA」です。総資産に対してどれほど利益をあげたか?を表します。

経常利益÷総資本

経常利益は本業以外からあげた利益を含めるので、資金調達した資本全体から、いったいどれだけ利益をあげることができたか?
という点から、「会社の全体像」がみえます。

※じつは、支払い利子を含む点でもう少し細かいのですが、割愛します

RoE(自己資本利益率)

次に、利益を当期利益に移し、資本も自己資本に限定します。

これで、株主の拠出した資本に対してどれだけの利益をあげたか?という点がみえてきます。

当期利益÷自己資本

RoAに対して、資本も利益も限定して、「もうすこしミクロな視点」でみる数字です

分子の当期利益は、「配当」や「株価」に影響します。

自分が出資に対してどれだけの利益をあげてくれたかがわかるので株主としてはここを気にするのです。

「自己資本」というのは、主に株式による資金調達で、出資者は株主。

株主は会社の所有者なので「自己」資本です

反対に、「他人資本」は、主に「社債」や銀行からの「借入」は外部の者として他人資本あるいは「負債」といいます

売上高対利益率

今度は、損益計算書の「売上高」を使います。これは、売上に対して利益の割合はいくらか?を表します

【利益÷売上高】

□ 純利益÷売上高 ⇒ 「商品の競争力」

□ 営業利益÷売上高 ⇒ 「本業の利益率の高さ」

□ 経常利益÷売上高 ⇒ 「企業全体の利益率の高さ」

「総利益率」にすると、市場におけるその会社の「商品の競争力」がわかります。
業界平均と比較して競争力の強さ弱さや「原価の高さ」などが見えてきます。

「営業利益率」でみると、「本業の利益率が高さ」がわかります。
もし、比率が低いと、「一般管理費」などのコストがかさんでいないか、改善すべきかが見えてきます。

「経常利益率」でみると、「企業全体の利益率の高さ」がわかります。
比率が高ければ、「支払利息」などの営業外費用がかさんでいないかが見えてきます。

≫「中小企業実態基本調査」で業界の平均値をみる。

資本回転率

次は、資本回転率をみます。これは、一年間に、資本に対して売上高は何回転するか?

言い方を変えると、売上は、資本の何倍になったか?が表されるものです。

回転がはやければ、倍々になっていくため、「効率的である」と言えます。

同業なら、基本的にビジネスモデルが同じなので、同業平均より低いと、事業に無駄があるとわかります。

あるいは、ビジネスモデルが違う場合、どれだけ効率的になるか、を知ることもできるのです。

分母を変えると運用効果が見える

分母を、固定資産や棚卸資産にかえることで、より詳細な検討ができます。

どの資本が効率よく運用され、どの資本の運用は効率が悪いのか?がハッキリしてきます

「売上高を資本で割る」=「売上は、どの資本の何倍になってるか」という目線になるのです。

□ 売上高÷売上債権=売上債権の回転率

□ 売上高÷棚卸資産=棚卸資産の回転率

□ 売上高÷固定資産=固定資産の回転率

□ 売上高÷有形固定資産=有形固定資産の回転率

2.安全性分析

安全性分析は、企業がどの程度安定しているか?すなわち、「倒産する危険がどれくらいあるのか」を分析します。

収益性も必要ですが、安全性に優れていることも優良企業の条件です。

主な3つの条件は以下。棚卸資産も注目していきます。

□ 短期支払い能力

□ 資金調達の妥当性

□ 資本構成

企業間取引では、「現金取引」と「信用取引」があり、信用取引とは、「手形決済」や「掛売り・掛買い」、「借入れ」です

これは売上を作って、(時間を稼いで)支払うという先延ばしなので、「支払い能力」を確かめることが肝心です。

・短期支払い能力

短期支払い能力は、「流動比率」と「当座比率」をみます。

【流動比率】 流動資産÷流動負債

【当座比率】 当座資産÷流動負債

「流動資産」は一年間に資金が回収されるもの

「流動負債」は一年間に支払いが発生するもの

これは、流動資産の方が上回っていなければ、返済が滞り続けるので、「100%を超えている」必要があります。

一般には、「200%以上」であることが理想です。

「当座資産」とは、短期的に回収される「現預金」「受取手形」「有価証券」「売掛金」です

ここでのポイントは、見かけの数字がクリアしていても、それが、不良債権であれば結局回収できないことです。

「回収可能性」を考慮しなければならないため、「取引先」が重要となります。

・資金調達の妥当性

資金調達が妥当かどうかは、「固定比率」と「固定長期適合率」をみます。

【固定比率】 固定資産÷自己資本

【固定長期適合率】 固定資産÷(固定負債+自己資本)

「固定比率」は、固定資産が返済義務のない自己資本でまかなえているかどうかを測るもの

固定比率は「100%未満」が理想なのですが、

そうはいっても、日本では銀行融資が一般的に浸透しており、100%自己資本というのはなかなかないので

そこで、「固定長期適合率」といって「固定負債」も加えた数字を使いましょう。

「自己資本」が返済義務が無いのに対し、「固定負債」は返済期限が長期にわたる負債です。

この値が「70%」程度になるのが理想です。

・資本構成

資本構成は、返済義務のある「負債=他人資本」と返済義務のない「自己資本」とのバランスです。

【負債比率】(流動負債+固定負債)÷資本

【自己資本比率】 自己資本÷総資本

「負債比率」は、返済義務のある負債がどのくらいなのかを表し、

「自己資本比率」は、資金調達した全体のうち、返済義務のないものはどれくらいなのか?をあらわしたもの

もし、負債が多いと返済する金利が上昇したときにコストが大きくなるので、自己資本比率の数字が高い方が安全

ただし、戦略として負債によってレバレッジをかけられる側面もあるので、「高い方が良い」というわけではなく

だいたい「30%」が必要という目線です。

キャッシュフロー計算書を利用する

より厳密に安全性を分析する場合、キャッシュフロー計算書を利用しましょう。

キャッシュフローを使うと、会社がどうかというより、もはや「事業」がどうか?という視点になります。

(営業キャッシュフロー+流動資産)÷ 流動負債

営業キャッシュフロー ÷ 長期負債

営業キャッシュフロー ÷ 設備投資額

流動負債は、一年以内に支払期日が迫っているので換金性のある営業キャッシュフローで支払い原資の有無がわかり

長期返済能力投下した資金の回収がまかなえるかが判断できます。

3.生産性分析

「生産性分析」は、投下した経営資源に対してどれだけの付加価値をうみだしたか?を分析します。
たとえば、

労働力に対し、どの程度の付加価値が生み出されたか?

総資本に対し、どの程度の付加価値が生み出されたか?

少ない資源で、多くのアウトプットをすれば「生産性は高い」と言えます

したがって、経営資源は、主に「労働力」、あとは、「資本」とします。

「付加価値」は、およそ、(売上-原価)として、「粗利益」が当たると考えられています。

もっとも、「付加価値」の部分を何にするかは業種や会社によりけりな部分があるので一概には言えません。

【生産性】とは、付加価値÷経営資源。

□ 付加価値÷従業員数

□ 付加価値÷(売上高×従業員一人当たり売上高)

□ 付加価値÷総資本

もっとも、「生産性」の分析は難しいというか、もっと複雑かと思います

成果と労働力の関係に規則性が余りなくなっているからです。

設備投資を進め人の代わりに機械を動かせば付加価値を期待できるかというと、必ずしもそうではなくなってきています

労働力を減らせば成果の質が高まるとも言えません。人件費をかけた方がかえって質が高まることもあります。

労働時間を減らす動きもありますが、オフィスで座っている人の労働時間が減れば減るほど、現場で働く人が増えます。(とくに不動産)

労働時間を減らそうとする動きは、まさにこの生産性を高めようという動きなわけですが、付加価値が同じでも、労働時間を減らせば数字はよくなる。ということになります

そういうわけで、注意が必要ですね

※労働生産性の数字は、工場とかの生産ラインでは発揮されると思います。

しかし、労働力が均一化されないので、近時のホワイトカラーでは鋭い分析ができません。経営は、もはや多角的になっています

銚子鉄道などのような場合は、本業を考えなくてはならないかもしれませんが、多くの企業経営では、複合的な経営の方がリスクヘッジにもなり、望ましい本業を捨てても構わないとすら考える面もあります。

わたしたち判断する側が、どう判断するかが重要かなと思います

4.成長性分析

こちらは比較的シンプルです。

売上や利益を昨年の数字と比べて分析していきます

算出した結果も、同業他社・業界平均・同社の過去の実績と比較していきます。

企業には、創業期、成長期、安定期、衰退期>があるといわれます。

①創業期から成長期にかけて、大きく急速に売上を伸ばし

②成長と同時にコストも増加する。

③安定期には投資は少なくて済み、利益を増やしていき

④衰退期には売上が減少していく。というものです

したがって、売上や利益をみていくことで、企業がライフサイクルのどの段階にあるのか?を分析できるというわけです

□(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高

□(登記経常利益-前期経常利益)÷前期経常利益

□(当期総資本-前期総資本)÷前期総資本

□(当期従業員-前期従業員)÷前期従業員数

あくまでも分かれるのは評価であって、数字は嘘をつきません。限られた情報ではありますが、会社の実態を掴むことができるのではないでしょうか

・決算書を4つの指標で財務分析する手順

決算書を読む手順としては、シンプルです。

まず、上場企業のRoAやRoEという数字は「ヤフーファイナンス」でみます。

次に、そのほかの細かい数字は、上場企業なら、決算書を公開しているので、企業ホームページから「IR情報」にアクセスしてみれます

そして、業界の平均値は、ほかの上場企業から探して比較してもいいですしあとは、「中小企業実態基本調査」からも調べられます

①まず、調べたい企業の数字をヤフーファイナンスでチェック

②流動資産とか固定資産とかは、企業HPのIR情報から、その数字を分母分子に当てはめて計算

③出てきた数字を中小企業実態基本調査で業界平均と比べる

というわけで、長くなってしまいましたが、お読みいただきありがとうございます。素敵な投資ライフをお過ごしください