今回は、根抵当権についてです。
抵当権とちがうポイントは、「法人が使う」という点です。
とっつきにくい分野で苦手意識のある人が多いかもしれません。
しかし、それは、ことばが難しそうに並んでいるから。
実際の内容は、それほど難しいことを言っているわけではないので安心して取り組んでみてください
根抵当権とは?
根抵当権とは、企業が一つの担保で、銀行から何度も借入を行うために設定する特別な抵当権です。
これを法律では「一定の範囲の不特定な債権を極度額の範囲で担保する抵当権」と表現しています。
実際に行われている数で言えば根抵当権が多いだろうと思いますが
企業が使うのが「根抵当権」
個人が使うのが「抵当権」で住宅ローンです。
根抵当権の極度額とは?
極度額とは、担保する金額の上限です。
たとえば、1億の価値がある物件に極度額を7000万としておき、消費貸借契約による債権を担保するとしておきます。
そうすると、500万の融資を(少なくとも)10回はできる、といったイメージです。
ただ、この極度額は、元本のほか利息なども含めすべてを担保します。
このように、根抵当権は継続的な取引実務の要請を反映したものなのです。
根抵当権の元本とは?
根抵当権は、継続的な取引実務の要請を反映したものなのですが、
どこかで「いくら融資するのか?」を決めなくてはなりません。
いくら融資するのかを決めなくては、貸す方も借りる方もいくらになるのかわからないわけです。
そこで、担保する金額を決めます。これが「元本」です。
ふつうは借りた金額となりますが、元本をもとに利息が決まり最終的に根抵当権が担保する金額がわかることになります。
これを「元本の確定」といい、元本確定後は、「極度額の変更」以外はすることができなくなります。
極度額が変更できる理由は、債権が変わるわけではなく、金額が変わるだけだからです。
※極度額は、元本確定後も変更することができます。
根抵当権の元本確定事由とは?
元本が確定すると、被担保債権も決まり、根抵当権は複数の債権を担保する抵当権になります。
確定によって、極度額の変更のみ許されることとなります。
では、その元本確定はどういったタイミングでなされるでしょうか?これを決めるのが「元本確定事由」です。
元本確定は、次の2つのパターンがあります。
・債務者である設定者が、根抵当権設定時から3年後に元本確定請求をする。
その後、2週間後に確定する
・債権者である抵当権者が、いつでも請求でき請求した時に確定する
この元本確定事由によって、元本が確定します。
根抵当権の被担保債権の範囲とは?
根抵当権は、優先弁済を受ける限度額を定めることにより、第三者が損益を予測できるようにしようとするものです。
不動産に根抵当権を設定されている場合、その不動産を取得したいと思いますか。
もし、極度額を考慮して、不動産に余剰価値があると思えば、第三取得者が現れることになります。
根抵当権の大きなメリットとして普通抵当との違いは、利息を極度額に達するまで受けられることです。
また、被担保債権が消滅しても、元本確定前に根抵当権が消滅することもありません。
継続した取引を担保するためのものであるからです。
根抵当権の消滅請求とは?
根抵当権は、消滅請求することができます。
債権額が未定だから、極度額が後に増えることもありえます。
こうした場合、物上保証人や第三取得者などは被担保債権全額を支払わなければ根抵当権を消滅できないのでは酷であり、消滅請求が認められるのです。
根抵当権者も、結局は債権回収ができればよいのです。
根抵当権のまとめ
さいごに、根抵当権のポイントをまとめていきます。
以下が根抵当権のポイントです
・確定前に被担保債権を変更できる
・確定前に被担保債権を譲渡した場合、行使することができない
・確定前に根抵当権を譲渡できる
・元本確定後に、極度額を変更できる
・極度額により消滅請求できる
というわけで、担保としては抵当権と同じなのですが、性質がちがうため全く別もののようになっています。
少し複雑ですが、何度もくりかえして覚えていくしかないかもしれません。
というわけで、今回は以上です。
お読みいただきありがとうございました。