横浜税関事件とは?輸入禁制品該当通知は処分に当たるか?わかりやすく判例解説

今回は、税関で輸入を禁止された場合の事例(最判昭54.12.25、差戻後上告審は最判昭59.12.12)です。

税関長の通知は「観念の通知」であって、法律上、権利義務を発生させる効果を持つ者ではありません。

ところが、実際の運用実態を考えると、結局、輸入できず処分と変わらないというものです。

横浜税関事件の事案とは

横浜税関事件のあらましとしては、以下のようになります。

外国郵便物を輸入する際、

税関支署長によって、輸入禁制品に該当することの通知がなされた。

税関検査が検閲に当たるとして、取消訴訟を提起し、その中で、旧関税法に基づく通知の処分性が問われた。

※通知は、旧関税法21条1項3項

通関手続きにおいて、輸入禁止の法的効果が認められる前には、税関長の認定判断が先行しています。

これは、行政権の発動であると言えます。

この通知では、輸入禁制品を許可できないことは当然ですが、不許可処分ができないというわけではありません。

また、もし、貨物が、輸入禁制品に該当するとしても、税関長の判断は、必ずしも常に正しいとは言いきれません。

さらに、実務的に、輸入許可が与えられない場合に、不許可処分がされることはないという扱いをしています。

そうすると、本件の通知は、輸入が許されないとする税関長の意見が初めて公にされるもので、後に不許可処分がされることもないため、

行政庁の最終的な拒否の態度を表明するものである。

判例曰く

「本件の通知は、輸入が許されないとする税関長の意見が初めて公にされるもので、後に不許可処分がされることはなく、行政庁の最終的な拒否の態度を表明するものである。

通関手続きの実際において、税関長の通知は、実質的な拒否処分として機能している。

したがって、処分に当たる。」

観念の通知ではありますが、

法律に準拠され、なされるもので、適法に輸入できなくなる効果を持つという点を考慮して

処分性は肯定されるという判断となりました。

繰り返しになりそうですが、少し噛み砕いてみます。

輸入禁制品該当の通知は処分に当たるか?

税関長の通知は、観念の通知ですが、実務的な運用を考慮した判例でした。

通関手続きの実務において、

税関長の通知は、実質的な拒否処分として機能しているため、処分に当たるとされました。

では、どんな通関手続きなのか?

ポイントは、

・税関長の認定判断がある

・税関長の判断は必ずしも正しいとは言えない

・税関長の認定判断のあと、とくに不許可処分がされるわけではない

・結果として、行政庁の最終的な判断となる

通関手続きにおいて、輸入禁止という法的効果が認められる前提には、税関長の認定判断が先行しており、それは一般人の判断とは異なるれっきとした行政権の発動です。

輸入禁制品を許可できないことは当然ですが、不許可処分ができないということについては理由がありません。

また、貨物が、「公安又は風俗を害すべき物品」という要件に該当して、輸入禁制品に該当するかどうか基準は、明らかではないため、税関長の判断が必ずしも常に正しいとは言えないことになります。

実務的には、「貨物の許可が与えられない場合に不許可処分がされることはない」という扱いをしており、本件の通知は、輸入が許されないとする税関長の意見が初めて公にされるもので、

後に、不許可処分がされることはなく、行政庁の最終的な拒否の態度を表明するものであるということになります。

結局、税関長の通知というかたちで、適法に輸入する道は閉ざされます。

そうなると、この通知は、直接、法律上の権利義務を確定するので処分に当たると言えるわけです。

というわけで、今回は以上です。ありがとうございました。