【猿払事件】公務員の政治的行為禁止規定は憲法に反するか?【判例解説】

猿払事件という有名な判例です。

第一審と上告審で、争点を分けて考えることができ、いずれも重要です。

漢字を間違えることがよくありますが、「仏」ではなく「払」です。

猿払事件の事案とは?

郵政省で、郵便局勤務の現業公務員が

政党候補者の選挙ポスター6枚を公営掲示板に掲示しました。

この184枚のポスターの掲示を依頼して配布していきます。

これが国家公務員法で禁止される公務員の政治的行為に当たり、違法であるとされました。

※国家公務員法110条1項19号

猿払事件第一審は、違憲判断の方法について

猿払事件の第一審での争点は、違憲判断についてです。

ポイントは

・非管理職

・選挙活動は勤務時間外

という点で、反論していることでした。

判例曰く

「政治的行為に対する制裁として、合理的で必要最小限の範囲を超えたものではない」

これは、同法が非管理職が、勤務時間外に職務を利用せず行った行為にも刑事罰を加えることを適用範囲内に予定しているとされるからです。

(人事院規則14-7, 6項13号)

猿払事件の上告審は、政治的行為と刑罰について

猿払事件の上告審では、政治的行為を禁止する規定は憲法に違反するか?が争点となり

政治的行為は、21条の保障を受けるのですが、

それが、公務員の政治的行為の場合は?が問題になります。

公務員は、15条2項で、国民全体の奉仕を旨とされており

その趣旨は、行政の中立的な運営により、国民の信頼を維持する国民全体の利益のためです。

したがって、政治的行為は制限され、禁止する規定も許容されます。

「公務員の政治的行為禁止は、合理的で必要やむを得ない限度にとどまる限り許される。」

合理的で必要やむを得ない場合の判断する基準とは?

以下を判断する基準としています

・政治的行為を禁止する目的

・目的と政治的行為との関連性

・政治的行為を禁止して得られる利益と、侵害される利益の均衡

「禁止の目的、目的と政治的行為と関連性、政治的行為を禁止して得られる利益と、侵害される利益の均衡」

本件での判断

目的は、行政の政治的中立性の確保で正当といっていますが

ここは具体的に説明はされていません。

そして、国民全体の共同利益を守るため、行動を禁止しているだけであるから、利益の均衡を失っていない、として合憲としました。

「目的との間に関連性が認められ、職務権限や勤務時間などを区別していなくても合理的な関連性は失われない。」

これは、

意見表明の制約をねらいとしておらず、行動がもたらす弊害を防ぐことをねらいとしている

意見表明の自由が制約されても、それは一定の行動を禁止する時の付随的制約だからやむを得ない。

というわけです。

「意見表明そのものの制約を禁止する狙いではなく、意見表明などの行為から生じる弊害を防止する狙いであるから行動を禁止することに伴う付随的な制約である。
他方で、国民全体の共同利益を確保するのであるから、政治的行為を禁止しても利益の均衡を失わない」

というわけで、猿払事件でした。ありがとうございます。

カテゴリー: Case