合意管轄とは?どう解釈していくのが適切か

合意管轄の定め

民訴11条によると、第一審裁判所については当事者が定めることができます

これを合意管轄といい、専属的管轄合意と付加的管轄合意の2種類があります

この違いは、合意の解釈(というかニュアンス)の違いです

専属とは、合意を他の裁判所は認めないとする趣旨に解します。付加的とは、他の管轄を認める趣旨です

こうした合意管轄の定めは契約書の条項にだいたい入っていて、会社の契約書ではおなじみの文言ですが、いざ訴訟になったときにいずれに解釈するかという風に問題が顕在化します。

合意管轄の問題点

たとえば「本件契約に関する一切の紛争は,B地方裁判所を第一審の管轄裁判所とする」

このような定めを以下のどちらだと解釈するか?

・ 専属的管轄合意 …特定の裁判所を排除する

・ 付加的管轄合意 …特定の裁判所をつけくわえる

結局は、事案に照らして、妥当な結論へ処理しますが

現代社会においては、企業としては大量の取引となりますので画一的に契約してるはずです(約款とか)

その中に基本的には企業に有利なように本社の所在地の属する裁判所になるように書いてあるかと思いますので

消費者保護という点でいずれに解釈するか?みたいな論点になります。

消費者保護を考えるなら、付加的管轄合意であると解釈して、消費者に有利な裁判所にも管轄を認めようとする流れになります。

専属的管轄合意によれば、さだめられている以外の裁判所に訴えを提起されたら、その裁判所に対し、定められている裁判所が、ふさわしい管轄裁判所になります。

そして、第16条1項に基づき、本件訴訟をB地方裁判所に移送するよう申し立てます。

そして、17条によって移送という手も認められています

したがって、実際には妥当な結論が導く手続きにはなってます

合意管轄の事案検討事項

事案の検討要素としての事情につきましては以下を検討

・専属的管轄合意であることを、とくに契約書に明記していないこと

・付加的管轄合意と考えることに合理性があること

専属的管轄合意であることを、とくに契約書に明記していないことは、
契約書は解釈が分かれないように作成することが企業法務においては必須なのであえて除外する旨を加えておく必要があります

それから、付加的管轄合意と考えることに合理性があること、言い換えると、付加的管轄合意と言えるか?

債務不存在確認請求など、定めにある裁判所の法定管轄に属しないような場合にも、定められた裁判所となることを許すものだからです

これ以上は、事案しだいとしかいいようがないですが、立場の弱い方、距離の遠さとかで考えれられるかと思います

メーカーにしろ小売にしろ、チェーン展開している場合、消費者トラブルを想定して契約書はチェックすることが大切です。