詐害行為取消権とは?判例から対象となる行為を解説

 

詐害行為取消権とは?

 

債務者がした法律行為の取消しを裁判所に請求することです。

 

したがって、詐害行為取消の効果は、責任財産保全のための必要最小限度で、流出してしまった逸出財産の返還請求として財産流出原因となる契約などを取消すことです。

 

債務者は、財産逃れをよくするので、裏でつながっていて、家を売ったことにするというようなことがあります。といっても、他人の財産ですから、必要最小限にとどめなければなりません。この法律行為にはどのようなものが該当するのかを判例で確認します。

 

 

 

 

 

 

 

 

詐害行為取消しの要件

 

 

まず、ざっと詐害行為取消権の法律要件を確認すると

1    詐害行為前に発生した被保全債権

2   財産権を目的とする法律行為

3   債務者の詐害意思

4   無資力

 

そして、受益者の善意と債務者の資力回復は、受益者が立証です。

 

債権者代位権は権利をただ行使するだけでしたが、取消しとなると権利関係が変動しますから詐害行為取消権に「転用」が認められていません

 

 

詐害行為取消権が認められる行為について判例の考え方は?

 

 

取消の対象となるのは「被担保債権の発生後」にされた行為に限られることが改正で明確になっています。

詐害行為と評価されないものは、通常の「財産分与」と「相続放棄」くらいです。基本的に処分する行為は詐害行為とされています。

 

・弁済は詐害行為取消の対象か?

『弁済は、原則として詐害行為とならず、いち債権者と通謀し他の債権者を害する意思をもって弁済したような場合のみ詐害行為となる』

(最判昭33.9.26)

 

・相続放棄

『相続放棄は積極的な減少ではなく、増加を妨げる行為であるから当たらない』

(最判昭49.9.20)

 

・遺産分割協議

 『遺産分割協議は財産権を目的とする法律行為であるから詐害行為になり得る。』

(最判平11.6.11)

→ 相続財産が誰のものになるかがを決めるものですので、財産権を目的としていると評価されています。

 

・財産分与

 『離婚の財産分与は詐害行為にならない』

 『金額が不相当に過大だったり、財産分与をよそおっていると思われるような場合は詐害行為にあたる』

(最判昭58.12.19)

 

・賠償債務を超える離婚慰謝料

 『慰謝料支払いの合意は原則、詐害行為にならないが、賠償額を超えた部分は詐害行為になる。』

(最判平12.3.9)

 

・代物弁済

『代物弁済は、目的物の価格にかかわらず、債務者に詐害の意思があれば詐害行為となる。』

(大判大.8.7.11)

 

・担保供与

『抵当権設定は、債務者の義務ではなく他の債権者を害するため詐害行為となる。』

(最判昭32.11.1)

 

『一部の債権者に対する抵当権設定登記が詐害行為に当たる』

(大判明.40.9.21)

 

・不動産の処分

『不動産は消費隠匿しやすくなるため金銭に代えることは、相当な価格であっても詐害行為となる。もっとも、売却の目的が正当なものであるときは、詐害行為とならない。』

(大判明.44.10.3)

 

 

無資力であることが要件とされていますが、無資力というのは、債務超過にあるとか、不動産を持っていないとかそういう状況です。

 

判例の考え方としては、いち早くほかの債権者を出し抜いたような場合は取消されるなあという印象。場面設定として想定されるのは中小企業で、債権者は通常多いからです。

 

しかし、ただでさえ破綻してるのに、債権者平等を貫こうとすると結局、債権はまったく回収できません。

 

さらに債権者平等の弁済を強いられるのは強制執行、清算の場面に限られるのですが、詐害行為取消しの場面も結局、破綻に際した状況がほとんどなので債権者平等を認めるべきであるという価値観に流れていくのだと思います。