2019年(令和元年度)宅建試験【権利関係の解答・解説】

令和元年度の権利関係について解説していきます

ここ最近の宅建は、ほんとにむずかしくなっていてたいへんですね。

判例も蓄積されますから。

文章が長いため、スマートフォンの方は横画面にしていただくと読みやすいかもしれません。

民法改正については
結論が変化するもの一括総まとめ

にて、宅建に関わりそうなところを簡単にまとめています。

令和元年度宅建士試験問題

【問1】 Aは、Aが所有している甲土地をBに売却した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1.甲土地を何らの権原なく不法占有しているCがいる場合、BがCに対して甲土地の所有権を主張して明渡請求をするには、甲土地の所有権移転登記を備えなければならない。


登記がなければ、第三者に対抗することができません。(177条)

大連判明41.12.15によると、第三者とは、当事者及び包括承継人以外のもので、不動産物件の得喪及び変更の登記の欠缺(けんけつ)を主張する正当の利益を有する者を指します。

そして、最判昭25.12.19によると、何ら権原なくして家屋を不法占有する者は、177条の第三者には当たりません。したがって、登記がなくとも所有権を主張できます。

2.Bが甲土地の所有権移転登記を備えていない場合には、Aから建物所有目的で甲土地を賃借して甲土地上にD名義の登記ある建物を有するDに対して、Bは自らが甲土地の所有者であることを主張することができない。


AからBへの土地売買、AからDへの土地賃貸借の二つの契約があり両者は対抗関係にA立ちます。売買は賃貸を破るといい、原則、買主が優先されます。

これに対して、建物所有目的で土地を賃借しているため借地借家法が適用され(借地借家法1条)借地権を主張するので土地の上に借地権者が登記されている建物を有するときは第三者に対抗することができます(10条1項)

したがって、買主は所有権を主張することができません。

3. Bが甲土地の所有権移転登記を備えないまま甲土地をEに売却した場合、Eは、甲土地の所有権移転登記なくして、Aに対して甲土地の所有権を主張することができる。


順次譲渡された場合、譲受人と前所有者は前主後主であり対抗関係に立ちません。

また、最判昭31.6.5によると、未登記建物の譲受人は譲渡人に対して移転登記の請求をすることができます。

したがって、所有権を主張することができます

4. Bが甲土地の所有権移転登記を備えた後に甲土地につき取得時効が完成したFは、甲土地の所有権移転登記を備えていなくても、Bに対して甲土地の所有権を主張することができる。


最判昭41.11.22によると、第三者のなした登記後に時効が完成した場合、その第三者には登記がなくても時効取得を対抗することができますので所有権を主張することができます。

こたえ.1

【問2】 AがBに甲土地を売却し、Bが所有権移転登記を備えた場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1.AがBとの売買契約をBの詐欺を理由に取り消した後、CがBから甲土地を買い受けて所有権移転登記を備えた場合、AC間の関係は対抗問題となり、Aは、いわゆる背信的悪意者ではないCに対して、登記なくして甲土地の返還を請求することができない。


詐欺により取消された場合(96条1項)、初めから所有権は移転しなかったことになります(121条)

これに対して、詐欺による取消しは善意の第三者に対抗することができません(96条3項)(なお、民法改正により、善意「無過失」の第三者となりました。)

大判昭17.9.30によると、この第三者とは、「取消し前に利害関係を有するに至った者」を指します。

そのため、取消し後に現れた者は含まれません。

一方で、詐欺取消しの効果による物件変動について両者は対抗関係に立ち、登記をしなければ第三者に対抗することができないとされています。

したがって、ACは対抗関係に立ち、登記なくして請求することができません。

2.AがBとの売買契約をBの詐欺を理由に取り消す前に、Bの詐欺について悪意のCが、Bから甲土地を買い受けて所有権移転登記を備えていた場合、AはCに対して、甲土地の返還を請求することができる。


取消し前に現れた者ですが、悪意であるから第三者に当たらず対抗することができ、請求することができます。

3.Aの売却の意思表示に要素の錯誤がある場合、Aに重大な過失がなければ、Aは、Bから甲土地を買い受けたCに対して、錯誤による当該意思表示の無効を主張して、甲土地の返還を請求することができる。


法律行為の要素に錯誤があったとき、意思表示は、無効となります(95条本文)

これに対して、表意者に重過失がある場合、無効を主張できません。(95条ただし書)

本件では、重過失がないため請求することができます

民法改正により、錯誤の法律効果が無効から取消しとなりました。

4.Aの売却の意思表示に要素の錯誤がある場合、Aに重大な過失があったとしても、AはBに対して、錯誤による当該意思表示の無効を主張して、甲土地の返還を請求することができる。


意思表示の表意者に、重大な過失がある場合、無効を主張できないため請求することができません。

こたえ 4

【問3】 事業者ではないAが所有し居住している建物につきAB間で売買契約を締結するに当たり、Aは建物引渡しから3か月に限り瑕疵担保責任を負う旨の特約を付けたが、売買契約締結時点において当該建物の構造耐力上主要な部分に瑕疵が存在しており、Aはそのことを知っていたがBに告げず、Bはそのことを知らなかった。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1.Bが当該瑕疵の存在を建物引渡しから1年が経過した時に知ったとしても、当該瑕疵の存在を知った時から1年以内であれば、BはAに対して瑕疵担保責任を追及することができる。


売買契約の瑕疵担保責任について、買主の追及期間は、買主が事実を知った時から一年以内です(570条、566条1項)引渡しは関係ありません。

民法改正により、「瑕疵の存在」でなく「契約内容の不適合」を知った時から一年以内に売主に通知することとなりました

2.建物の構造耐力上主要な部分の瑕疵については、契約の目的を達成できるか否かにかかわらず、Bは瑕疵を理由に売買契約を解除することができる。


瑕疵のために契約をした目的を達することができないときは、解除することができます。

どこの瑕疵ということではなく、契約目的を達することができるかどうかが基準です

3.Bが瑕疵を理由にAに対して損害賠償請求をすることができるのは、瑕疵を理由に売買契約を解除することができない場合に限られる。


契約の解除することができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる(566条1項)とされており、これは解除ができない場合は損害賠償のみとなるということを示しているにすぎず、両方することもできます。

4.AB間の売買をBと媒介契約を締結した宅地建物取引業者Cが媒介していた場合には、BはCに対して瑕疵担保責任を追及することができる。


売主の担保責任(570条)を規定しているため、媒介業者に責任追及できません。

民法改正により、実益のなくなった設問です。

こたえ 1

【問4】 不法行為に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1.放火によって家屋が滅失し、火災保険契約の被保険者である家屋所有者が当該保険契約に基づく保険金請求権を取得した場合、当該家屋所有者は、加害者に対する損害賠償請求金額からこの保険金額を、いわゆる損益相殺として控除しなければならない。


不法行為(709条)に基づく損害賠償額の算定について、差引計算されることがあります。

最大判平5.3.24によると、不法行為と同一の原因によって被害者が利益を受けた場合これを加害者の賠償すべき価額から控除すべきであるとしています。

これを損益相殺と呼びます。まず、損益相殺するかどうかは任意です

そして、最判昭50.1.31によると、家屋消失によって支払われた火災保険金は損益相殺として控除が認められないとしています。したがって、控除する必要はありません。

2.被害者は、不法行為によって損害を受けると同時に、同一の原因によって損害と同質性のある利益を既に受けた場合でも、その額を加害者の賠償すべき損害額から控除されることはない。


上述の通り、損益相殺として控除されることがあります。

3.第三者が債務者を教唆して、その債務の全部又は一部の履行を不能にさせたとしても、当該第三者が当該債務の債権者に対して、不法行為責任を負うことはない。


共同の不法行為によって損害を加えたときは、各自が損害賠償責任を負います(719条1項)そして、行為者を教唆した者もこの共同不法行為者とみなされます(719条2項)

4.名誉を違法に侵害された者は、損害賠償又は名誉回復のための処分を求めることができるほか、人格権としての名誉権に基づき、加害者に対し侵害行為の差止めを求めることができる。


名誉を棄損した者に対して、損害賠償及び名誉回復のための処分を裁判所に求めることができます(723条)

そして、最大判昭61.6.11によると、名誉を侵害された者が人格権としての名誉権に基づき、侵害行為の差止めを求めることが認められています。

こたえ 4

【問5】 次の1から4までの記述のうち、民法の規定及び判例並びに下記判決文によれば、誤っているものはどれか。

(判決文) 本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合には、その後に無権代理人が本人を相続したとしても、無権代理行為が有効になるものではないと解するのが相当である。けだし、無権代理人がした行為は、本人がその追認をしなければ本人に対してその効力を生ぜず(民法113条1項)、本人が追認を拒絶すれば無権代理行為の効力が本人に及ばないことが確定し、追認拒絶の後は本人であっても追認によって無権代理行為を有効とすることができず、右追認拒絶の後に無権代理人が本人を相続したとしても、右追認拒絶の効果に何ら影響を及ぼすものではないからである。


最判平10.7.17です。

判例の読み方についてですが、判決を分析してみます。

まず、「○○の場合、△△と解する」という部分が「判例」となる部分です。これが裁判所の示す結論命題で、抽象的規範となります。

(判決文) 本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合には、その後に無権代理人が本人を相続したとしても、無権代理行為が有効になるものではないと解するのが相当である。

次に、「けだし」というのは「なぜなら」という意味です。

したがって、けだし以下が理由づけとなります。

けだし、(=なぜなら)無権代理人がした行為は、本人がその追認をしなければ本人に対してその効力を生ぜず(民法113条1項)、

本人が追認を拒絶すれば無権代理行為の効力が本人に及ばないことが確定し

そして、赤字の「右追認拒絶の後は~ではないからである」が理由です。

追認拒絶の後は本人であっても追認によって無権代理行為を有効とすることができず、

追認拒絶の後に無権代理人が本人を相続したとしても、追認拒絶の効果に何ら影響を及ぼすものではないからである。

この理由部分が法律効果で、これが導かれるための「裏付け」というのが、根拠規定等です。

「本人であっても有効とはできない」という無権代理行為の性質と、「拒絶によって本人に効果帰属しないことが確定する」という追認拒絶の効果(113条)の二つが導かれるという構造です。

設問の4択をみてみると

1 本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合、その後は本人であっても無権代理行為を追認して有効な行為とすることはできない。


本人が追認を拒絶すれば無権代理行為の効力が本人に及ばないことが確定します

2 本人が追認拒絶をした後に無権代理人が本人を相続した場合と、本人が追認拒絶をする前に無権代理人が本人を相続した場合とで、法律効果は同じである。


本人が追認拒絶をした後に無権代理人が本人を相続した場合は、上記判例で示されていますが、本人には効力は及びません。

一方、本人が追認拒絶をする前であれば、いったん無権代理人の地位が併存します。

3 無権代理行為の追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。


条文の知識です(116条)

4 本人が無権代理人を相続した場合、当該無権代理行為は、その相続により当然には有効とならない。


いったん無権代理人の地位が併存します。

本人と無権代理人の両者の地位が併存するのでまだ拒絶でき、当然には有効とならないです。

こたえ 2

【問6】 遺産分割に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 被相続人は、遺言によって遺産分割を禁止することはできず、共同相続人は、遺産分割協議によって遺産の全部又は一部の分割をすることができる。


被相続人は、遺言によって遺産の分割を禁ずることができます。

そして、分割を禁ずる期間は相続開始の時から5年を超えない範囲です。(908条)

2 共同相続人は、既に成立している遺産分割協議につき、その全部又は一部を全員の合意により解除した上、改めて遺産分割協議を成立させることができる。


共同相続人は、いつでも遺産分割協議をすることができます(907条1項)

最判平2.9.27によると、共同相続人全員の合意により、既に成立した遺産分割協議の全部または一部を解除することができます。

3 遺産に属する預貯金債権は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割され、共同相続人は、その持分に応じて、単独で預貯金債権に関する権利を行使することができる。


最判昭29.4.8によると、相続財産中の可分債権は当然分割され、各相続人がその相続分に応じて権利を承継します。

もっとも、預貯金債権に関しては、最大判平28.12.19によると、相続開始と同時に当然相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割対象となります。

したがって、分割されないので単独で権利行使することができません。

4 遺産の分割は、共同相続人の遺産分割協議が成立した時から効力を生ずるが、第三者の権利を害することはできない。


遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼって効力を生じます(909条本文)

こたえ 2

【問7】 Aを売主、Bを買主として甲建物の売買契約が締結された場合におけるBのAに対する代金債務(以下「本件代金債務」という。)に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1. Bが、本件代金債務につき受領権限のないCに対して弁済した場合、Cに受領権限がないことを知らないことにつきBに過失があれば、Cが受領した代金をAに引き渡したとしても、Bの弁済は有効にならない。


債権の準占有者に対し、善意無過失で弁済したときには有効となります。(487条)

そして、大判昭2.6.22によると、債権の準占有者とは、債権を有すると思料するに足りる外観を備える者を指します。

民法改正により、債権の準占有者という用語は、条文からなくなりましたが意味は同じです。

本件は、過失があるので弁済は有効になりません。

2.Bが、Aの代理人と称するDに対して本件代金債務を弁済した場合、Dに受領権限がないことにつきBが善意かつ無過失であれば、Bの弁済は有効となる。

同上

3.Bが、Aの相続人と称するEに対して本件代金債務を弁済した場合、Eに受領権限がないことにつきBが善意かつ無過失であれば、Bの弁済は有効となる。

同上

4.Bは、本件代金債務の履行期が過ぎた場合であっても、特段の事情がない限り、甲建物の引渡しに係る履行の提供を受けていないことを理由として、Aに対して代金の支払を拒むことができる。


相手方がその債務の履行を提供するまで自己の債務の履行を拒むことができます(533条本文)この主張のことを同時履行の抗弁と呼びます。

そして、大判大7.8.14によると、不動産売買における登記協力義務(引渡しにかかる履行)と代金支払義務は同時履行とされています。

(なお、「登記」と「引渡し」は別個の行為ですが、「引渡し義務」については同時履行ではないとされているので、個人的には設問としてイマイチかなとは思います。)

こたえ 1

【問8】 Aを注文者、Bを請負人とする請負契約(以下「本件契約」という。)が締結された場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1.本件契約の目的物たる建物に重大な瑕疵があるためこれを建て替えざるを得ない場合には、AはBに対して当該建物の建替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができる。


目的物に瑕疵があり、契約の目的を達することができないときは解除することができます。(635条本文)

もっとも、目的物が建物の場合、解除することができません(635条ただし書)

そして、最判平14.9.24によると、建物に重大な瑕疵があるために建替えざるを得ない場合、注文者が、請負人に対して、建替え費用相当額の損害賠償請求をすることは、このただし書の趣旨に反しないとしており、請求をすることができます。

そして、民法改正により、635条は解除一般の特則という位置づけでしたが削除され、改正後の「解除一般の規律」に従うこととなります

2.本件契約が、事務所の用に供するコンクリート造の建物の建築を目的とする場合、Bの環疵担保責任の存続期間を20年と定めることができる。


建物についての請負契約なので、瑕疵担保責任の存続期間は原則、引渡しの後5年間で(638条1項本文)コンクリート造なので10年となります(638条1項ただし書)

そして、この期間は消滅時効の期間内で伸長することができる(639条)のですが、債権の消滅時効は10年(167条1項)なので、20年と定めることができません。

3.本件契約の目的が建物の増築である場合、Aの失火により当該建物が焼失し増築できなくなったときは、Bは本件契約に基づく未履行部分の仕事完成債務を免れる。


最判昭52.2.22によると、注文者の責任で完成不能となったときは、請負人は残債務を免れます。

4.Bが仕事を完成しない間は、AはいつでもBに対して損害を賠償して本件契約を解除することができる。


仕事が完成しない間、注文者はいつでも(損害があれば賠償して)解除することができます(641条)

こたえ 2

【問9】 AがBに対して金銭の支払を求めて訴えを提起した場合の時効の中断に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 訴えの提起後に当該訴えが取り下げられた場合には、特段の事情がない限り、時効中断の効力は生じない。


取り下げの場合、効力を生じない(149条)

2 訴えの提起後に当該訴えの却下の判決が確定した場合には、時効中断の効力は生じない。


却下の場合、効力を生じない(149条)

3 訴えの提起後に請求棄却の判決が確定した場合には、時効中断の効力は生じない。


請求は時効中断事由(147条)ですが請求に理由がないことが確定すると、請求が認められないため時効は中断しなかったことになり効力は生じません。

4 訴えの提起後に裁判上の和解が成立した場合には、時効中断の効力は生じない。


裁判上の和解は、裁判上の請求として時効中断事由となります(147条)

そして、裁判上の和解には2種類ありますが、訴え提起前の和解(民訴275条1項)は、成立した場合、時効中断効が生じ(151条反対解釈)、訴訟上の和解も確定判決と同一の効力を有し(民訴267条)ますので効力は生じます。

こたえ 4

【問10】 債務者Aが所有する甲土地には、債権者Bが一番抵当権(債権額2,000万円)、債権者Cが二番抵当権(債権額2,400万円)、債権者Dが三番抵当権(債権額3,000万円)をそれぞれ有しているが、BはDの利益のために抵当権の順位を譲渡した。甲土地の競売に基づく売却代金が6,000万円であった場合、Bの受ける配当額として、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

1、 600万円

2、 1,000万円

3、 1,440万円

4、 1,600万円

抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって、変更することができます(374条1項本文)

また、抵当権の順位を譲渡、放棄することもできます(376条1項)

「譲渡」とは、優先弁済権を譲受人に取得させることですなので、BからDに一番の順位を取得させることになり、Dが2000万の配当を得ます。

次に、Cは変わりなく2400万配当を得て債権は満足します。

そして、Dは自己の三番抵当権に基づき、配当を得ます。

債権は3000万ですが、すでに2000万を得ていますので、残りの1000万を得て満足します。

残余があるので、最後にBは受け取れます。600万が残余です。(6000-2000-2400-1000=600です)

こたえ 1

【問11】甲土地につき、期間を50年と定めて賃貸借契約を締結しようとする場合(以下、「ケース1」という。)と、期間を15年と定めて賃貸借契約を締結しようとする場合(以下「ケース2」という。)に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 賃貸借契約が建物を所有する目的ではなく、資材置場とする目的である場合、ケース1は期間の定めのない契約になり、ケース2では期間は15年となる。


ケース1について、建物所有目的ではないので借地借家法が適用されません(借地借家法1条)。

民法の賃貸借の存続期間は最長20年を超えることができず、20年となります。(601条)

当該条文は、民法改正により、50年を超えることができないと変わりました。

なお、ケース2について、20年以下なので、契約通り15年となります。

2 賃貸借契約が建物の所有を目的とする場合、公正証書で契約を締結しなければ、ケース1の期間は30年となり、ケース2の期間は15年となる。


ケース1について、建物所有目的により借地借家法が適用されるため、存続期間は30年より長い期間を定めたときはその期間となります(3条ただし書)したがって、50年となります。

ケース2について、借地借家法が適用され、存続期間は30年となります。(3条本文)
公正証書は関係ないです。

3 賃貸借契約が居住の用に供する建物の所有を目的とする場合、ケース1では契約の更新がないことを書面で定めればその特約は有効であるが、ケース2では契約の更新がないことを書面で定めても無効であり、期間は30年となる。


ケース1について、建物所有目的のため、借地借家法が適用され更新がないことを定める場合、存続期間を50年以上として、書面により定める必要があります(22条)

したがって、有効です。

ケース2について、存続期間が50年未満ですので、無効となり原則通り30年となります

4 賃貸借契約が専ら工場の用に供する建物の所有を目的とする場合、ケース1では契約の更新がないことを公正証書で定めた場合に限りその特約は有効であるが、ケース2では契約の更新がないことを公正証書で定めても無効である。


ケース1について、事業用であるため、公正証書により更新がないことを定めることができます。(23条3項)

(なお、30年以上50年未満の場合と10年以上30年未満と定めた場合とで、その他の違いはあります。23条1項、2項)

こたえ 3

【問12】 AがBに対し、A所有の甲建物を3年間賃貸する旨の契約をした場合における次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか(借地借家法第39条に定める取壊し予定の建物の賃貸借及び同法第40条に定める一時使用目的の建物の賃貸借は考慮しないものとする。)。

1 AB間の賃貸借契約について、契約の更新がない旨を定めるには、公正証書による等書面によって契約すれば足りる。


期間の定めがある借家契約では書面によって契約をすることで更新がないことを定めることができます(38条1項)

これを「定期借家契約」と呼びます。

この場合、更新がなく終了する旨を書面に交付して説明しなければならず(38条2項)説明しなかったときは更新がない旨の定めは無効です(38条3項)

2 甲建物が居住の用に供する建物である場合には、契約の更新がない旨を定めることはできない。


特に制限はなく事業用、居住用共にできます

3 AがBに対して、期間満了の3月前までに更新しない旨の通知をしなければ、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされるが、その期間は定めがないものとなる。


本件は期間の定めがある普通借家契約なので、6ヶ月前までに通知をしなければ更新したものとみなされます(26条本文)

この場合、期間については、期間の定めがない契約となります(26条ただし書)

4 Bが適法に甲建物をCに転貸していた場合、Aは、Bとの賃貸借契約が解約の申入れによって終了するときは、特段の事情がない限り、Cにその旨の通知をしなければ、賃貸借契約の終了をCに対抗することができない。


大判昭9.3.7によると、転借人が適法に転貸している場合、賃貸人と賃借人が合意解除しても、対抗することができません。

こたえ 4

【問13】 建物の区分所有等に関する法律(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、集会においてそれぞれ議決権を行使することができる。


共有者は、議決権を行使する者を1人定める必要があります(区分所有法40条)

2 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して議決権を行使することができる。


議決権を行使することはできません。意見を述べることができるにとどまります(44条1項)

3 集会においては、規約に別段の定めがある場合及び別段の決議をした場合を除いて、管理者又は集会を招集した区分所有者の1人が議長となる。


条文の通りです(41条)

4 集会の議事は、法又は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数で決する。


集会の決議については決議事項によって、決議要件は異なって法定されているため、ただちに4分の3とはなりません。全体的に誤りです。

(私が設問を読み間違っているかもしれませんが、議事という用語は出てこないので何を指したいのかあいまいな、あまり良い問題ではないかと思われます。)

こたえ 3

【問14】 不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 登記の申請に係る不動産の所在地が当該申請を受けた登記所の管轄に属しないときは、登記官は、理由を付した決定で、当該申請を却下しなければならない。


申請の却下について、登記官は、却下事由がある場合、理由を付した決定で登記の申請を却下しなければなりません(不動産登記法25条柱書本文)。

そして、不動産所在地が登記所の管轄に属しないときは却下事由に当たります(同条1号)

2 所有権の登記名義人が相互に異なる土地の合筆の登記は、することができない。


条文の通りです(41条3号)

3 登記官は、一筆の土地の一部が別の地目となったときであっても、職権で当該土地の分筆の登記をすることはできない。


このような場合、職権で文筆の登記をしなければなりません(39条2項)

4 登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、本人の死亡によっては、消滅しない。


条文通りです。(17条1号)

こたえ 3

おつかれさまでした。他の科目は暗記なのでお任せします。

権利関係は、少しずつ理解していけば、安定するので運ゲーではなくなります。

本年度は改正前最後の試験で改正に関わる設問が多い印象でした。過去問に出題のないものが割とあったような気がします。

というわけで、お読みいただきありがとうございました。