一物一権主義とは?
一物一権主義とは、1つの物に対しては、1つの所有権しか存在することができないという原則です。
近代物権法では、
物に対する排他的支配を内容とする「所有権」と
その所有権を基礎として成立する「制限物権」と
この2つを基本として、それらを排他的効力をもつ「物権」として構成しています。
制限物権とは?
制限物権とは、一定の限定された目的のために使用する物権のことです
所有権のように目的物を全面的に支配するのではありません。
地上権、永小作権といった用益物権や質権、抵当権といった「担保物権」です。
そのため、1つの物に対しては、同一内容の物権は2つ以上成立しないという「排他性」も意味することになります。
これは物権について取引を保護する必要から要請される原則とされています。
これによって、
・ 物の一部分には物権は成立しない
・ 複数の物の集合物には単一の物権は成立しない
ということが導かれます。
複数の物の集合物には単一の物権は成立しない
現代の制限物権の変容
これに対し、現代では制限物権への捉え方も変化しつつあります。
社会が成熟、発展していくとその様子も変わります。
物に対する「権利の有機的結合」が、大きな経済的価値を持つようになると、それを「一括して物権取引の対象としたい」
そういった要請が強くなります。
その結果、修正を受けて、「企業担保権」や「集合物譲渡担保」という捉え方がでてきたのです。
端的にいえば、不動産を持っていなくても
何か持っているもので工夫して融資を受けたいということになります。
物権法定主義とは?
物権法定主義とは、物権は当事者間で創設することはできないという原則です。
その根拠としては、所有権の自由を確立すること及び取引の安全・迅速を守るという点があります。
複雑な封建的支配関係を整理し、一定の制限物権によるもの以外は所有権を制限できないことにしたり、
「公示の原則」を採用して、公示として用いられるもののみを物権としています。
175条の「法律」に慣習法が含まれるかは争いがあるものの、
温泉権や流水利用権のような「慣習上の権利」は認められてはいるようです。