愛媛玉串料訴訟事件とは?わかりやすく【判例解説】

今回は、愛媛玉串料訴訟の判決についてです。宗教関係は、すぐに目的効果基準と反射してしまいがちですが

それまでの道筋は意外と抑えられていません。

どちらも政教分離という考え方から目的効果基準という判断軸で審査します。

しかし、条文がちがってきますので、問題となる行為、条文を確認する必要があります。

愛媛玉串料訴訟の事案とは

愛媛玉串料訴訟の事案の概要としては、それぞれの神社の祭りに公金を支出したという事例です。

靖国神社

・玉串料:春秋の例大祭に5年間で9回計45,000円
・献灯料:夏のみたま祭に4回計31,000円

護国神社

・供物料:慰霊大祭に9回計90,000円

※地方自治法242条のいわゆる「4号請求」

愛媛玉串料訴訟のポイント

この訴訟のポイントは、20条3項と89条という2つの条文が論点となることです。

県の公金支出が20条3項に違反するか?

県の公金支出は89条に違反するか?

県の公金支出が20条3項に違反するか?

まず、当たりまえかもしれませんが、宗教的活動に当たる点については

「宗教的活動に当たり、違憲である」としています。

審査基準は、目的効果基準に沿っていて、以下のように

「特定の宗教団体が行う重要な祭祀にかかわり合いを持ったことが明らかであるため、相当とされる限度を超える」

とのことでした。

そのため、祭りの重要性はわりと大きいようですね。

県の公金支出は89条に違反するか?

この点については、

「靖国神社、護国神社は宗教上の組織に当たることが明らか」

と言っており、

ほかの宗教団体の儀式に公金支出していないため意識的に特別のかかわり合いを持ったと評価しています。

残念ながら、どうして明らかなのか基準までは言っていないのがつらいところです。

また、そのほかにいくつかポイントがあります。

・祭神の多くは戦没者

・相当数の者が慰霊を望んでいる

・故人を忍ぶという心情である

・奉納は儀礼的意味合いがあることも否定できない

こうした点も考慮しつつ、憲法制定の経緯に照らせば、相当数の者か望んでいることを理由に許されることにはならないと判断しています。

というわけで、今回は以上になります。

お読みいただきありがとうございました