法律行為とは何か?「意思表示を要素とする行為である」わかりやすく解説

「法律行為」とは、「意思表示」をひとつの要素とする行為のことをいいます。

この辺りは、基本的なそもそも論の部分で、抽象的で難しいかもしれませんが

とかく空中戦になりがちな基礎を丁寧に説明してみようと思います。

※一文が長くなりますのでスマートフォンの方は横画面にしていただいた方が読みやすいかもしれません。

法律行為とは?

「法律行為」とは、「意思表示」をひとつの要素とする行為のことを総称していいます。

そして、「意思表示」とは、私たちが、権利の発生や消滅を求めて他人に表示していく行為をいいます。

これはいくつかありますが例えば、

契約書へのサインや購入ボタンのクリック、レジへ商品を乗せお金を支払うといったことです。

現実の物理的な行為が主になってきます。

それでは具体的な法律行為とは何があるでしょうか

権利変動原因

具体的な法律行為とは、契約です

民法では、「人間」と「法人」を権利の主体として認めていて、権利の主体となることができることを「権利能力がある」といいます。

そのため、私たちには権利があります。

そうした権利というものは、発生したり、消滅したり、変更したりしますので、これを「権利の変動」といいます。

この変化の原因となる行為を「権利変動原因」といいます。

権利変動原因はいくつかありますが、そのひとつが「法律行為」です。

このたとえとして先ほど例に挙げたものをより法的にいえば、「契約」です。

特に、当事者が権利の変動を目指した意思を表示することが意思表示であり

法律行為は、意思表示を要素とすることに大きな特徴がありますので

契約は、当事者の意思を書面に起こしたものですし、契約によって権利が発生したり変動したりします

したがって、意思表示を要素とする権利変動原因となる行為といえ、契約は典型的な法律行為となります。

意思表示とは?

「意思表示」とは、法律効果をの発生を目指した意思の表明です。

さしあたりこちらも契約の締結と思えばとりあえずはいいですが、

私たちは「黙示の行動」からも意思が読み取れるはずで、これも法的に認められていますので意思表示はかなり広いです。

意思表示の瑕疵

意思表示をした権利主体の思想と外的な表示が異なる場合、「瑕疵がある」といい、とくに意思がなかったケースでは「意思の欠缺(けんけつ)」と呼ぶことがあります。

契約締結した物理的な契約が外的表示になりますが

嘘をついた場合

勘違いした場合

騙された場合

脅された場合

こういった、ケースがあり得ます。

それぞれ、心裡留保、虚偽表示、詐欺、錯誤、強迫として整理しているのです。

「意思表示の瑕疵」の典型的な論点

・ 嘘をついた場合 心裡留保、虚偽表示、

・ 勘違いした場合 錯誤、

・ 騙された場合 詐欺、

・ 脅された場合 強迫

そして、意思を表現した主体を表意者と呼びますが、この「表意者の落ち度」と「取引の優先度」を比較して、

法律上のバランスをとっているため「善意」、「過失」が条件として求められたり求められなかったりしています。

この辺りがだいたい、テキストだと、意思表示がさらっと流れて、心裡留保、虚偽表示、詐欺強迫と出てきてようわからないようなわかったようなかんじで進んでいくところの背景です。

法律行為と意思表示のちがい

このように考えると、法律行為と意思表示の違いは、そもそも関係性が包含関係であるという点です

法律行為が、意思表示を要素の1つになっているという関係になります。

意思を表示した行為であっても、権利の発生や消滅を目指していない行為は法律行為とはなりません。

○○が好きだとか嫌いだとかは権利が変動しません。

法律行為と意思表示が、どう違うのか?というより、「意思表示が含まれている」ということ

並立ではなく、包含関係であるという点がポイントです。

契約以外の権利変動原因

また、その他の仲間として、「合同行為」「単独行為」があります。

「契約」が、権利の主体が複数いて、それぞれの異なる目的の方向に向かって意思表示をしていくものであるのに対し、

それぞれが同一の目的の方向に向かって意思表示を行う「合同行為」があります。組織(組合)を作る時です。

また、そもそも権利の主体が単独で、意思表示を行い単独で効果が発生する「単独行為」である「解除」や「遺言」があります。

さらに、意思表示を要素としないものがあります。

意思表示をすることなく権利が変動するものとして「不法行為」、「相続」などもあります。

【権利変動原因】

意思表示を要素とするもの

・ 法律行為
   契約… 複数で効果が発生し、双方向目的
   単独行為 …単独で効果が発生
   合同行為 …複数で効果が発生し、同一目的

意思表示を要素としないもの

・ 不法行為

・ 相続

意思表示というものはそのまま意思を表現することなのですが、

ふだん買いますとわざわざ言うことはあんまりないと思うのですが、

たとえば、

購入ボタンをクリックするとか

レジに商品を持っていくとか

契約書にサインするとか

返品するとか

意思表示を伴った行動です。

意思表示は権利の、発生や消滅を目指して行動するようなことを指します。

この例のように、意思表示を伴ってあるいは内包して、権利が変動するような行為のことを法律行為といいます。

法律行為の主な要素が意思表示で、

意思表示とは権利の発生や変動を目指して何か表現することです

さらに、物を実際に渡さないと貸借とならないでしょうから、法律行為には意思表示以外の要素もあるのです

先ほど、意思表示とは、権利の発生や変動を目指して何か表現することだと買いたんですが、

効果意思とは

意思表示について細かく考えていくと、

主観と客観にわけられます。

「意思」の部分と「行為」の部分です。

実際に意思を表現する行為があります

・ サインしたり、クリックしたり

・ 商品をレジに持っていったり。

こういったものを、「表示行為」といいます。

これらの行為は、わたしたちが「やろうと思った」

そのために行為が行われるはずです。

(哲学的?というか変な感じですが。)

この、行為をやってやろうという気持ちの部分を「効果意思」といいます。

この効果意思は、「買う行動を起こして買うぞ」みたいな気持ちを指します。法律的には「所有権取得を望む意思」となります。

表示行為と効果意思は常に一致します。

クリックしようという気持ちが

クリックするという行動になるのです。

これに対して、もっとも間違いやすいのが「動機」です

そもそも「なぜ手に入れたいのか?」という点がありますね。

これが動機です。

この本を読みたいとか、このパンが食べたいとか現実の取引において、一番大事な部分です。

意思表示のプロセス
動機 → 効果意思 → 表示行為

こうした意思表示のプロセスがあるとかんがえていきます。

例えば、

メンチカツパン食べたかったのにうっかりコロッケパンだったとか経験があるはずなんですけど

こうした場合、取引の大前提が崩れます

すなわち、意思表示に瑕疵がある状態になります。

そのため、取消すことになるのですが、この場合は錯誤というお話と関わってきます

おわりに

意思表示のプロセスには

厳密にいうと、表示行為の前に表示意思というのもありますが、とりあえず無視していいです

わりとどのテキストや本を読んでも、いきなり不動産取引が出てきますけど、

その前提として意思表示があるんだよーということに注意してください

ということで、まずは意思表示そして、法律行為という基本中の基本のお話でした。

お読みいただきありがとうございます。