犯罪の事実など、ウェブサイトの検索結果について、削除を求めることができるのか?というものでした。
「Google検索結果削除事件」(最判平29.1.31)
本件の事案について
逮捕歴が検索結果として表示されていましたため、更生を妨げられない利益として「忘れられる権利」を主張して、削除を求めました。
ノンフィクション事件(最判平6.2.8)と同じく、人格権として法律構成しています。こちらも私人間です
犯罪歴、前科とかが主ですが、プライバシーに関する事実を含むURLを検索結果として提供する行為に対して、請求を立てているところがポイントです。
忘れられる権利は認められるか?
結論は、忘れられる権利は認められませんでした。
まず、もちろん個人のプライバシーをみだりに公開されない利益は法的保護に値します。
これに対して、情報収集、整理、提供は、検索事業者の方針に沿った結果が出るようにプログラムが作成されているため、表現行為と考えられます。
現代社会では、情報流通のきばんとして大きな役割を果たしているので、特定の検索結果が削除を余儀なくされると非常に大きな制約となります。
審査基準と判断
本題ですが、プライバシーに関する情報を検索結果として提供する行為が違法となるかどうかは
としており、その際、検討することとして
・伝達される範囲と具体的な被害の程度
・社会的地位や影響力
・記事の目的
・掲載されたときの状況と変化
・事実を記載する必要性
こういったことを挙げています。
個人の逮捕歴を含むサイト(URL等)を検索結果として提供する行為は違法か?
本件では、児童売春の被疑事実でした。
これは、プライバシーですが、強い社会的非難の対象でもあり、罰則をもって禁止されている行為です。
このようなできごとについては、公共の利害に関する事項と評価され、公表されない利益が優越するとは言えないとされます。
ポイントとなるのは、
・罰金刑の程度で
・事件のその後も犯罪を犯しておらず
・現状、平穏に家族妻子と暮らしていた
こうした場合でも、「公表されない利益は優越されない」
とこのように判断されているので、わりと厳しめの判決が出たかなという印象です。