「津地鎮祭事件」とは?わかりやすく判例解説

津地鎮祭事件の事案とは

津市が、市の体育館を建設するにあたり、神式の起工式を行いました。

起工式とは、建物の工事を着工するにあたり、施主や施工者、工事関係者などが参加して行われる無事を祈る式典のことです。

儀礼的なものですが宗教的活動に当たりそうですので、市が7663円支出したことは20条3項に違反しないか?が問題になります。

※手続きとしては、住民監査請求を経た上で、市長を被告とした住民訴訟の提起です。市の公金支出を理由なので、地方自治法242条の4号請求です

津地鎮祭事件の論点と結論

起工式は宗教的行為に当たり、公金支出は違法か?という点については

違法ではないとされます。

「起工式は、20条3項で禁止される宗教的活動には当たらない」

理由につきましては

「公金支出の目的が、建築着工に際し土地の堅固や工事の無事を願うもので、一般的な慣習に従った世俗的なものであるから、特定の神道を援助、助長、圧迫干渉するとは認められない」

このように、国家はある程度宗教とのかかわりあいを持たざるをえないため、相当とされる限度を超えていると認められる場合に、国家の行為は許されないと判断します。

この目的効果基準に沿った審査基準を採用しております。

この審査でのポイントは、外形的側面にとらわれることなく考慮し客観的に判断するということでした。

・場所

・行為に対する一般人の宗教的な評価はどうか

・行為者の意図

・一般人に与える影響

などを考慮していました。外形的というのは

・主催者が宗教家であるか?

・式次第が宗教の方式かどうか?

といったことです。

政教分離は政治と宗教を遠ざけることで、干渉させず自由にさせることで信教の自由が保たれるという考え方に基づきます

一方で、国からの補助とか援助が必要な場合もありますので、その辺りはしばしば問題になります。

懐事情はよく知りませんが、中小社寺はけっこう大変なのかもしれません。