今回は警察の活動を紹介するとともに、警察に呼びかけられた時に協力すべきなのかというテーマでお話していきます。
もちろん協力すべきかもですが、こちらにも関係なかったり、事情があったりすると思います。
また、日本の司法について、批判が絶えないところですが、日本の司法の問題点は、実は現場の警察の活動が深く絡んできますので、今回は警察の仕事を紐解いていきます。
警察の仕事は大きく二種類
警察の仕事には大きく二つあり
一つは、行政警察活動でこれは、代表的なものがパトロールです。
街の安全を守るため、不審者や不審物、不審な事件がないかをパトロールし、世の中の秩序維持のための活動です。
もう一つは、捜査で、これは事件が起きたときにいち早く駆けつけて状況の調査をしたり、現場で証拠がないかを探したり、関係者と思われる人の証言をヒアリングしたり、犯人逮捕したりという活動です。
どちらも馴染みがあるかはわかりませんがイメージは着くと思います。
警察の二つの仕事、区別はどこからか?
事件が起きたら捜査だと思うかもしれせん
じつは、「捜査の端緒」がある時からはじまります。これは、犯罪があると思われる理由のことです。
このタイミングで、職務質問、所持品検査、自動車の交通検問などがなされます。これらは、一応、「行政警察活動」とされています。
しかし、実際はそう単純ではなく、どこからが行政警察活動で、どこからが捜査なのかというと明確に区別はつきません。
事件には一連の流れがありますし、ある街で事件が起こったとしてその近くに居たとしても関係無いという人も居ます。
そういう場合にも私たちは、職務質問、所持品検査、自動車検問に応じなければならないのでしょうか。結論から言うと、回避できる場合もあるのです
警察の仕事としての自動車検問
まずは、自動車検問です。自動車検問には、3つの種類があります。
・緊急配備
・交通検問
・警戒検問
緊急配備は、特定の犯罪が発生した場合に、犯人を探したり、情報を集めるために行われます。
交通検問は、交通違反が起こらないように予防として、行います。飲酒運転や酒気帯び運転を防ぐためにアルコール検査をしたりします。
警戒検問は、テロなどの予防や警戒のために行われます。
このうち、交通検問と警戒検問については、これらを行っても良いとする根拠となる法律がありません。
通常、車が走っていたら、不審事由があるかどうかが分からないので、「捜査の端緒」(犯罪があると思われる理由)があるのかないのかわかりません。
さらに、行政の活動というのは、法律の定める範囲の中で行わなければならないので、そのままでは交通検問を行うことはできないはずなのです。
交通検問を行う根拠が必要となり、交通検問の法的根拠が何かという問題が出てきます。
昭和55年9月22日の判例によると
としています。
交通の取締りが警察の責務であるということは理屈として納得できるものです。
しかし、これには問題点がありました。警察法というのは、警察法というのは組織法なのです。
組織法の目的は、警察の管理と運営を保障し、組織をまとめることです。本来これを警察の具体的な仕事内容の根拠条文とすることは妥当ではないのです。
この点については、2条で、憲法の保障する権利に干渉するような権限の濫用を禁じているため、根拠規定のない任意的な警察の権限を認めることができるとしています。
つまり、警察の任意的な業務の範囲については警察法を根拠にすることになり、一応、「法律による行政という原則」をクリアしました。
ただ、これは自動車検問が、特別の根拠規定を必要としない任意の警察権限だということになりました。
すなわち、原則的に任意であり、従う必要はないということになります。
この判例の事件においては
交通違反の多発する地域
不審な点があるかどうかにかかわらず、短時間の停止
任意の協力のもとで行う
運転者の自由を不当に制約しない
以上のような場合、交通検問は適法であるという基準ができました。
逆に言えば、このあとの予定があって忙しい場合に協力しない旨を明確にすれば、それ以上引きとめることは違法となります。
交通検問自体をやめろということはできないのですが、これを回避することはできます。
警察の仕事として交通検問は大事
これを回避できるのですが、本来、交通検問のあり方というのは、明確に議論して立法すべきことでした。
交通検問は態様として、難しいかもですが、やはり必要ですし、飲酒運転を防ぐ上でとても大切なことかもしれません。
飲酒運転が生み出す悪夢は取返しがつかないものです。
最適解が今ある交通検問のカタチかはわかりませんが、交通検問を行うとするならばその効果が最大になるようにし、かつ個人の権利もできるように立法をするべきです。今のままでは穴だらけです
刑法が改正され、飲酒運転の刑罰は重くなりました。しかし、それでも自分は大丈夫と思って飲酒運転をしてしまった場合に、取り締ることが求められこれを支えるのが刑事訴訟法です。
根拠条文がないという現状を甘く捉え、今ある法律に無理して押し込み、その場限りの判例の規範でなし崩しとなっているのが現状です。
こうした刑事上の法律や運用については、常にベストな方法を模索していく必要があります。