民法の「付合」とは?わかりやすく解説

民法でいう「付合」は、添付という現象の1つです。

ふたつのものが、一つになった場合を民法では「添付」といいます。

「添付」は、所有権を異にするふたつのものが結合してひとつになった場合、ひとつの所有権となったと考えることをいい、

結合の仕方によって3つに分かれます。

・ 付合 
・ 混和 
・ 加工 

付合とは?

「付合」とは、不動産に動産が附属すること及び動産に動産が附属することです。

判例の言い方では、

「分離復旧が事実上不可能ないし社会経済上著しく不利益な状態」

を指します。

※不動産どうしは付合しません。

不動産とは、土地及び定着物を指し、建物は定着物として独立した不動産であるから、建物は付合しないことになります。

不動産に動産が付合した場合

不動産に動産が付合した場合、動産の所有権は、不動産所有者に帰属します。

建物の増改築をした場合など、不動産と一体化し構成部分となって独立性を有しない場合、所有権は不動産所有者に帰属です。

これに対し、動産に独立性があれば付合せず、別個の所有権が認められます。

この場合の対抗要件は外からみてわかるように「明認」となります。よく木に炭で文字が書いたりしているのをみかけます

土地の使用権原のない者が作物を育てた場合

土地に第三者が作物を育てた場合、作物は土地に付合します。

「種をまき育てたとしても土地の所有者に帰属する」

所有権の対象となるものは独立性を有している必要があり、これがないものは構成部分にすぎないため、所有権の客体となりません

◆混和 (略)

加工とは?

「加工」とは、材料たる動産に工作を加え、新たな物をつくることを言います

原則として、「材料の所有者」に所有権が帰属します。

もっとも、建物建築などでは、例外として「加工者」に所有権が帰属することもあります。

判例曰く

「工作によって、材料価格を大きく超える加工物価格が生じたとき、加工者が支出した材料価格と工作によって生じた価格の合計が、ほかに支出した材料価格を超えるとき、加工者の所有となる。」

と言います。事例から考えてみます。

加工についての事例

ここでの問題意識は、

完成建物の所有権はだれに帰属する?というもの

第三者が、完成前の建物に材料を提供し、追加工事を加えて完成させたような場合です。

建築工事をした場合、加工により、所有権を判断します。

「建物建築のように工作に特別の価値があり、完成した建物価格が、原材料より相当程度増加するから、加工(246❷)に基づき所有権の帰属が決められる。」

建築の特徴として、材料よりも完成品の建物の方が高価格だからです。

特別の技術による労務提供があるから、加工物(建物)は、材料と同一であるとは言えません。

※完成前でも独立した不動産にはなり得ますが、基準となる価格について、完成時点での価格となります。

建物は建築が絡むとややこしくなるため、試験でもよく出るところです。

というわけで、以上です。ありがとうございました。