不動産ファンドに関わる重要な仕事にプロパティマネジメントがあります。
プロパティマネジメントを「PM」といいますが、今回はその業務内容を説明していきます。
私の場合、比較的小さい会社で専門性の高いひとがあまり現場をやりたがらないことなどもあり下記のすべてをおこなっていますが、本来はかなり分業されているのでPMの領域は会社によってさまざまです。
プロパティマネジメントの仕事内容とは?
プロパティマネジメントの仕事内容とは、不動産ファンドという金融商品の投資対象である建物の日常管理を行います。
多くは不動産会社のグループ会社や一部門がその役割を担います。
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プロパティマネジメントの仕事とビジネスモデルとは?
プロパティマネジメントの基本的なビジネスモデルとしては、
不動産保有者であるオーナー若しくはビークルとプロパティマネジメント契約を結びPM報酬を受領することです。
本来、プロパティマネジメントの役割は大きく5つに分かれます。
そして、基本的にはこれらは専門性が高いことからアウトソーシングし、その統括管理を行う仕組みです
そのため幅広い知識が必要になります。どちらかというと広く浅くです。
1.ビルメンテナンス
2.リーシングマネジメント
3.コンストラクションマネジメント
4.キャッシュマネジメント
5.アカウンティング・レポーティング
もっとも、これらすべてを行う場合もあれば、いくつかの部署に分かれていることもあり
その形態としてはわりと様々です。
全ての機能を統括して、フロントは別の会社や部署に任せるパターンもあります。
一般的なPMの役割は、「お金に関すること」、「契約に関すること」を担うことです。
よくあるのは、PMはキャッシュマネジメント、アカウント、レポーティング、テナント・オーナーの窓口を行い
設備はビルメンへ指示、テナント募集はリーシング、長期修繕工事関係はCMへ任せ、各所へのヒアリングや指示、方針策定を行うというタイプです。
めちゃくちゃ聞こえよくいえば「司令塔」、実際には「パシリ」です。
実際に働く場合は、自分の役割となる「業務範囲がどこまで及ぶのか」は、重要なポイントとして抑えておくといいかもしれません。
ビルメンテナンス
ビルメンテナンスとは、建物設備の維持管理を行うことです。
環境衛生管理
設備管理・設備保全
保安警備
検針・巡回
建物清掃
電気・空調・給水・排水設備の点検整備
防犯などなど
また、法定点検の実施とそこで発覚した法令違反箇所の是正工事も受注して担うことが多いです
リーシングマネジメント
リーシングマネジメントとは、空室の募集、入退去です。
テナントの募集を行い入居手続を行うことが主な仕事で、一般的に多いのは入居部分だけをおこないますが
退去手続、退去時の現状復帰(現状回復)を行うこともあります。
リーシングが独立した部隊となっているところではテナントの募集から入居手続までを行い、退去は他の管理会社や自社のプロパティマネジメント部隊に任せていることがよくあります。
・既存テナントの管理
・退去手続
「リーシング」といった場合、新規テナント募集が主になり平たくいえば「営業」です。
「客付け」をすることを指すのが多く、反響営業は客付けから電話がかかってきます
これはポータルサイトに募集物件の情報を掲載しているからです。
それ以外の新規開拓は不動産屋を回っていったりひたすらテレアポしたりです。
一般的には契約書はプロパティマネジメントにて作成されますが、リーシングが作る場合もあるので経験を積みたい場合はこれも確認すべき点かもしれません。
正直、契約書は作らないとよくわかりません。
法律も条文も判例もわかっていても契約書はよくわかりません
勉強が通じないところではじめは泣きそうになります
契約書作成者の9割が契約書をよくわかっていないからだと思いたいです。
また、下記の2つあたりは分かれることがあります。
・賃貸借契約の条件交渉
・退去条件の交渉
あと、テナント折衝、日常クレーム対応
賃貸借契約更新手続、賃料改定交渉
と、こんなかんじです。
テナント賃料収入がインカムゲインであり、テナントからの収入の最大化が目標となります。そのため必然的にテナントニーズに応えることが重要になってきます。
コンストラクションマネジメント
コンストラクションマネジメントとは、日常の修繕工事から大規模修繕工事の実施、長期修繕計画の立案・作成を行います
建物そのものの物としての価値の維持、コストのバランスを検証します
もっとも、小修繕はたいてい設備が多いことや現場レベルの問題点だったりするのでビルメンが行うことが多いです。
CMは大型物件や開発案件がメインでありあまりみかけませんしよくわかりません。
建築が専門領域となるため躯体部分が領域です。
キャッシュマネジメント
キャッシュマネジメントは、収支に関わる部分の実務的な業務内容です。
入金管理
請求、督促
入金報告
ファンディングリクエスト
出金管理
出金報告などなど。
修繕工事や設備のメンテナンスを行う協力会社に工事を発注しその受発注書を取り交わしていきます。
見積書や請求書を要求したり、稟議を通したり、業者の与信を調べたり約款をチェックしたりもします。
会社は請求サイクルがあり請求書がないと支払ができないし、でも下請法が絡んでくるので業者が請求書が遅いとこちらが違反となるのでいろんなところへ催促の電話をよくかけてます。
レポーティング
レポーティングとは、月次の収支、工事進捗、契約異動、建物設備保全作業の報告することです。
これをPMレポート、マンスリーレポートといいます。
・レントロール作成
・スタッキングプラン作成
・リーシングプラン作成
・修繕計画の作成
・ローリングバジェット作成
レポーティングでは、これら上記の作成や見直しをおこないともに報告として内容の説明を毎月1回おこないます。
1か月の収支の動きを報告するものなので、契約に動きがあれば「レントロール」を作りなおします。
工事や賃料収入、水光熱費といった変動費などを計算して記録していき入出金からキャッシュフローとPLの差異を把握したりお金の管理をしていきます
レポートの様式も会社によってまちまちです。会社独自のエクセル表、システムと「@プロパティ」というシステムしか私は経験がないです。
プロパティマネジメントの仕事内容で求められること
プロパティマネジメントの仕事内容で求められることは「資産価値向上と収益の最大化」です。
もっとも、自分の場合、プロパティマネジメントとして実際に働くうえで、もっとも重要なことはとにかく「みんなから好かれること」だと思ってます
(そのため、多重人格となります)
二枚舌外交も大事です。これはどうしても利益相反にならざるを得えないのと、とにかく利害関係者の間に立つからです。
あとは知識です。
どこで落とし所や着地ポイントを見つけ、そこに持っていくかがカギであり推進力と説得力が求められ
苦労するところですがやっぱり知識がないとまるでできないという風に思っています。
プロパティマネジメント業務内容の特徴とは
プロパティマネジメントのミッションとは、「建物の資産価値向上と収益の最大化」です。
いろいろな施策はありますが、結局本質的には「賃料の向上」と「設備の維持修繕」です。
正直どんなにがんばっても賃料なんて上がらないし市況と立地次第です。
設備なんてどこも変わりないし年数が全てで古いものはどうすることもできません。
この限られた条件の中で無理を強いられるのがサンドバッグPMです。
ただ、プロパティマネジメントの仕事内容では
「この環境でいかに所有者やAM、テナントを唸らせる提案ができるか」がPMの腕の見せ所だと思っています。
良いPMの条件は説得力のある提案、依頼ができることだと思います。
そしてあとは繰り返しですが多重人格と二枚舌外交が上手くなることが特徴です
プロパティマネジメントの仕事内容のやりがいとは
ないです。すみません。
正直一般化できるような業務と直結するやりがいはないです
ただ、仕事の裾野は際限なく広いので個々人の興味や関心でこだわってやれば必ずみつけられると思います。
あと強いて言えばとにかく不動産の物まわりに詳しくなります。
プロパティマネジメントは、理屈ぽい人は成長できますがおそらくしんどいです。
理不尽も多いし納得できないことを何食わぬ顔で行うことが多いのが実情です。
プロパティマネジメントの仕事内容のデメリット
まあいっぱいあります。
・業務が多い
・知識が必要でも経験はもっと必要
・結局どうするのがいいかよくわからない
・なかなか終わらないし手離れしない
・責任が重い
・ずっと気持ちがもやもやしてずんとしたスッキリしない毎日が続く
就活生が好きな言葉でいえば「裁量があって経営者目線を学べる」側面があります。
「不動産賃貸業」というひとつの事業そのものを物件担当者個人がおこなうからです。(上記すべてをやる場合は)
ただ、現実には
オーナーがいて提案、依頼で進めて、それは果たして「裁量」なんでしょうか。
経営者目線なにそれ?よく人材の人が言ってるけど。
普段会えないような人と会える?経営者と話したから何?
たしかに、経営。で、賃貸業そのものではあるのですが、
じゃあ自分がやれるかっていったら個人ではやれない事業だし学んだところで活かすとかそういうことでもない
といった感想です。今のところ
プロパティマネジメントの仕事内容のメリット
プロパティマネジメントの仕事内容のメリットは、会社員でしかやれない仕事が詰まっているという点にあると思っています。
「個人ではやれない仕事」
「会社でしかやれない仕事」
こうしたことを体験できる点だと思います。
言葉が通じないひとから滞納家賃をなんとか回収したり
破産を食い止めたり、
夜逃げされた後始末をしたり
痺れるような増賃減賃交渉をしたり
調停・訴訟を経験したり
泣いて感謝されたり、理不尽に詰められたり、人が死んだり、縮み上がるくらい恫喝されたり、罵倒されたり
どれもかけがえのない体験で、自分にとってはサラリーマンをやる意味です。
お金持ちから貧乏人、有名人や国を支える人、日本人から外国人、
色んな人と一緒に仕事ができてみなさんのバックグラウンドに触れたり栄枯盛衰が垣間見えたり。
素敵なことも悲しいこともいっしょに共有できていろいろな人間ドラマに立ち会えます。
全部財産だなと思っています。
あとは、一通りできるようになればどこでも通用する汎用性はメリットだと思います。
とにかくストレスフルでいいことなんてほとんどないですが
おもしろい世界だと思います。
おすすめはしませんが興味がある方は覗いてみたら発見があるかもしれません。
というわけでお読みいただきありがとうございました。