民法改正により、結論がわりと変化するものをまとめてみましたんで振り返りにどうぞ。
改正では見直し、文言の変化、判例法理の明文化、削除といろいろあるのでボリュームが多すぎて、なかなか追いきれないと思うので。
結論が変化、とはいいきれない微妙なものも含まれてます。いろいろ迷いましたが、
比較的結論の変化が大きそうなものをピックアップしてます。
なお、一気にわかりやすく振り返りができるように随時アップデート努力します。
▼参照文献は、一番分かりやすかったこちらです
▼潮見先生の弘文堂の本も旧法対照で分かりやすいです
1.錯誤の効果が無効から取消しとなった
2.表意者に重過失がある場合の取扱いが変わり、相手方も過失があれば錯誤取消しとなる
3.錯誤の要件が変わって、要素の錯誤という用語がなくなった(意味合いはほぼ変わらない
4.第三者の保護規定新設され善意無過失の第三者には錯誤取消しを対抗できない
5.第三者詐欺の場合、相手方には無過失が必要になった(過失があれば詐欺取消しできる)
6.詐欺取消しを対抗できない第三者になるには、無過失も必要になった(過失があれば詐欺取消しできる)
7.隔地者でも対話者でも区別なく、通知到達時に意思表示の効力が生じるとする
8.制限行為能力者の代理行為も取消すことができる場合を新設
9.自己契約・双方代理もこれらに当たらない利益相反行為も無効ではなく無権代理行為とみなされる
10.条件成就により利益を受ける者が不正を働いた場合成就しなかったものとみなす
11.仮差押え・仮処分は時効完成猶予の効果のみとなった
12.財産開示手続きは時効中断事由となった
13.協議を行う合意が完成猶予事由となった
14.天災による時効の完成猶予期間が2週間から3ヶ月に延びた
15.短期消滅時効が廃止され、主観的消滅時効期間を5年としてしんせつした
16.不法行為に基づく損害賠償請求権の時効期間について客観的期間20年、主観的期間5年に延びた
17.長期の権利消滅期間(724条後段)を除斥機関から消滅時効期間とした
18.選択債権の中に不能がある場合、残存給付が当然目的となるのではなく、原則、債権の目的とならず選択権者の過失による時に限り債権の目的となる
19.原始的不能の場合も債務不履行に基づく損害賠償請求を妨げないとした
20.履行不能と債務不履行とを区別せず、帰責事由がなければ賠償責任を負わないとされた
21.損害賠償の範囲における特別の事情は、当事者が予見することができたという主観的なものから予見すべきであったという客観的な文言になった(ただし裁判実務では変化なし)
22.法定利率が3%変動制となった
23.債権者代位権の裁判上の代位が廃止された
24.債権者代位権に着手した場合の債務者みずからの処分権限の制限をなくした
25.登記請求権については規定が新設され債権者代位権の転用事例としての準用はなくなった
26.悪意の転得者には詐害行為取消できるとされていたが、受益者に請求できる場合に限り転得者にも請求できるものとなった
27.詐害行為取消認容の確定判決効力が、債務者にも及ぶこととなり、訴訟告知をしなければならなくなった
28.さらに、これにともない受益者は、債務者に対し、反対給付の現物返還請求、価額償還請求ができるとされた
29.詐害行為取消権消滅期間から出訴期間となった、また20年から10年になった
30.不可分債務は目的が性質上不可分であるもののみを対象としている
31.不可分債権は目的が性質上不可分である債権のみを対象としている、連帯債権を新設した
32.連帯債務者の一人に対する履行の請求は相対的効力事由となった
33.債務の免除も相対的効力となった
34.時効の完成も相対的効力となった
35.他の連帯債務者の相殺援用は認められなくなったがかわりに相殺にかかる負担部分の限度で履行を拒むことができる
36.連帯債務者に生じた事由が主債務者にも生じるかはその意思にしたがう
37.債権者は保証人が請求したときは金額や範囲など情報を提供しなければならない
38.債権者は主債務者の期限の利益喪失につき知った時から2ヶ月以内に保証人に通知を到達させる
39.個人根保証契約にも極度額を定めることとなり、書面でなければ効力を生じない
40.個人事業者のために個人ほしょうにんとなるばあい、公証人の確認が必要
41.譲渡禁止特約付き債権が有効となった
42.異議をとどめない承諾を廃止し、抗弁を放棄する意思表示がなければ切断されないこととなった
43.弁済につき正当な利益を有する者以外でも、債権者の承諾なく代位できる
44.代位の付記登記は不要となった
45.一部弁済をした代位者は、債権者の同意を得て債権者とともにその権利を行使できる
46.不法行為に基づく損害賠償債権を受働債権とする相殺でも、積極的な加害意思によるものと生命身体の侵害によるもの以外は許されることになった
47.更改前の債務者の意思に反するときであっても、債務者の後退による更改をすることができる
48.当事者の合意が必要であったが、債権者の単独の意思表示によって質権等を更改後の債務に移すことができる
49.危険負担の効果が、反対給付の消滅から履行拒絶になった
50.債務者に帰責事由のない場合も解除できる
51.無催告解除できる場合が付加され債務者が履行拒絶を明確に示した時もできる
52.定型約款の定義、契約の成立、約款変更について新設された
53.贈与は瑕疵の責任を負わないとしていたことから、契約内容に適合した目的物を引き渡す債務を負い、贈与の目的として特定した状態で引渡す合意をしていたものと推定される。担保責任は負うただそれは軽い
54.追完請求権が認められることになった
55.代金減額請求が認められることなった。また以前は必要なかった履行の追完の催告をしてから代金減額請求をすることになった
56.数量、品質の契約不適合は期間制限があるが、数量についてはないことになった
57.買主が担保責任に関する権利を保存するために、不適合を知った時から一年以内に通知すればよいことになった
58.諾成的消費貸借契約は書面に限るとされた
59.使用貸借契約が諾成契約となった
60.賃貸借の存続期間の上限を50年に延ばした
61.使用収益できなくなったときは当然に減額される請求がなくなった
62.賃借人の過失による場合であっても、契約の目的は達することができない場合は賃借人は解除できるようになった
63.期間の定めのある雇用の解除について2週間に緩和された
64.修補に過分の費用を要するとき不能となり損害賠償請求できないことがはっきりした
65.土地上工作物の請負における担保責任の存続期間の特則が廃止された
66.受任者に帰責事由があっても、履行割合に応じて報酬請求ができることになった
67.寄託契約が諾成契約となった
68.寄託者の承諾に加え、やむを得ない事由があるときにも再寄託できるようになった
69.消費寄託について、返還時期を定めたときであってもいつでも返還を請求できると解されることになった
70.組合解散事由がいくつか追加された